*** 2010年3月9日~11日 茨城の春(大山さんとの再会) ***
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室蘭工大を退任する際、大山氏(いすゞ自動車同期入社)のご好意で、帰路ひたちなか市のご自宅に逗留させて頂き、一緒に水戸周辺を探訪する。大山氏とは1970年入社当時、独身寮が隣部屋だったこともあり、以来変わらぬご厚情にあずかっている。彼は、地元の名士であるだけでなく、私と違って人望があり、町会長他の要職を勤められている。今回の再会は、約4年半の前の御来道以来である。 3月8日(月)18:30、太平洋フェリー”さんふらわあ”は、静かに苫小牧港の岸壁を離れる。大洗までの所要時間は19時間、到着は翌9日の14時過となる。初めて利用するこの大型フェリー、客室の広さはそこそこであるが、船体のロールが大きく、少し船酔いしたような気分になる。そうこうするうちに、ベッドの上に放置した手提鞄が落下し、ガラスが割れたような音がする。すは何事かと、鞄を開けると、命の次に大切な愛機の液晶カバーに、大きな亀裂が入っている。しまったと思ったが、後の祭りである。ただ、液晶本体にまで被害が及んでいない模様で、ここ数日は、そのまま使うしかない。夕食後、早めに就寝しようとしたが、今度は天井のビビリ音が気になって、中々寝付けない。どうやら、大型舶用エンジンを、防振ゴムを介することなく、船体に直付けしているようである。永年、商業車のエンジンマウントの防振効果を追求してきた私にとって、無視できない振動レベルである。だが、冷静に考えれば、そもそもフェリーに、豪華客船並の防振性能を求めるのは、酷な注文かも知れない。 9日(火)14:30、大洗港で下船し、一路ひたちなか市の大山邸に向かう。15年前にお邪魔した際は、周辺には長閑な田園風景が広がっていたが、今は宅地と化している。この分では、とても大山邸まで行き着けそうもないので、勝田駅で落合うことにする。豪邸に到着すると、何と奥様のKさんと御息女のYさんが出迎えて下さる。聞けば、Yさんはお産のため、数日前に実家に戻られたとか。知らなかったとは言え、大変な時にお邪魔して、恐縮至極である。ご一家のご厚情に感謝しつつ、奥様お手製の美味な夕食を、一緒に頂戴する。 10日(水)、生憎の小雨交じりの天候であるが、大山さんの高級車スカイラインで、水戸市内の名所旧跡をご案内頂く。先ず、梅の名所"偕楽園"を訪問する。丁度梅の見頃とあってか、平日にも拘らず、園内は観光客でごった返している。人ごみの中から、懐かしき関西弁も聞こえてくる。通路の両脇には、色取り取りの梅花が満開を迎えている。これらの花々を撮影したあと、"好文亭"に向かっていると、水戸納豆を売る屋台が目に留まる。大山氏によると、我々と同期の故M氏の実家が、"天狗納豆"の創業家とか。M氏は、残念ながら、齢60歳を前に急逝されたが、先程の"天狗納豆"のラベルにM家の名前は無く、この業界の浮き沈みの激しさを、物語っている。改めて、M氏のご冥福をお祈りする。 次に、徳川博物館を見学する。此方は入場料が高額とあってか、館内は閑散としている。ここでは、徳川家康の財産分けの品,水戸徳川家二代目当主・光圀公,攘夷運動の中心人物となった九代目当主・斉昭公(別称"列公")ゆかりの品等、多くの貴重な資料が展示されている。もう少し入場料を安くすれば、観光客も振り向いてくれると思われるが、この辺りが殿様商売という所か。尚、館長は、十五代目当主・斉正氏。写真で拝見する限りでは、殿様然とした風貌ではないが、真木夫人は女優と見違える程の美人である。どういう経緯で、このような奥方を射止められたか、興味津々であるが、下衆の勘ぐりはこれに留め置く。 最後に、水戸の北北西約60kmにある"袋田の滝"に向かう。日本三大名瀑の一つであり、この雄姿を写真に収めるのが、今回の目的の一つである。途中、西金砂(ニシカナサ)そばの里"そば工房"にて、"十割そば"を試食する。初めて食するこの十割そば、こしがあり中々美味である。かつて、登別の手打ちそば店"一直庵"でも、"二八そば"を何度か食したが、やはりこれとは一味も二味も違う。"袋田の滝"に近づくにつれ、小雨が霙に変わる。所で、"袋田の滝"について、大山氏は謙遜して、大したことないと仰っていたが、どうしてどうして、中々迫力満点の名瀑である。展望台から、20mmの超広角レンズ(視角93度)でこの滝を狙うと、何とぎりぎりで、ファインダー内に収まる。 私にとっても、これだけワイドな滝を見るのは、今回が初めてである。帰り際、もと来たトンネルを下っていると、明かり先に滝口が望める。その手前のつり橋には、春の淡雪が積もり、絵もいえぬ雰囲気をかもし出している。満ち足りた気分で、袋田の滝を後にする。ここから、霙が降り続く峠道を避け、大山邸へと急ぐ。 今回、北海道から帰任する際、大山さんご一家のご好意で、十二分に茨城の春を堪能させて頂いた。改めて、大山さんご一家のご厚情に深謝すると共に、タイミングが合えば、本年8月の集中講義で室蘭を訪問した後に、是非ご一緒に道東方面を巡ってみたい。 《後日談》3月19日に無事女のお子さんが誕生されたとか。母子共にご健康で、お子様の健やかなご成長をお祈りしたい。 |