*** 2010年6月2日 塔の岳 ***
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6月2日(水)、絶好の行楽日和となったので、約10年ぶりに大倉から丹沢・塔ノ岳(標高1491m)を目指す。このきっかけは、先月の箱根・金時山で、清楚なシロヤシオに出会え、更に大規模な群落が見られる塔ノ岳のそれを、撮影したくなったためである。ただ、大倉駐車場から塔ノ岳山頂までは、標高差が1200m以上もあり、しかも後半の登りは中々きつく、現在の私の体力ではいささか不安が残る。ただ、2008年9月の羊蹄山では、標高差1500mを一日で往復した実績もあり、それに比べれば、塔ノ岳はまだまだ楽なルートに思える。いずれにしても、塔ノ岳自体も、決して楽なルートではないので、気を引き締めて大倉に向かう。 10:00、大倉駐車場に到着する。ここは、広大な収容スペースを有する施設であるが、何と平日は無料開放されている。10:20、早速身支度をして、大倉駐車場を後にする。車道を15分程進むと、杉林の奥に登山口が現れる。標識には、山頂までの距離と共に、"大倉尾根0"と番号がふってあり、ここが出発点であることが分かる。更に標識の下には、「緊急時は、上の番号を通報して下さい。」と記載されており、登山者の緊急事態に配慮した、安全システムと言える。所が、この周辺の一般道には、登山者の物と思しき車が乱雑に駐車している。僅か10数分下った所に、立派な無料駐車場があるにも拘わらずである。周辺の住民に迷惑をかけないためにも、登山者自身のモラル向上が望まれる。 緩やかな坂道を登って行くと、20分程で分岐点が現れる。どちらのルートも、所要時間は変わらないので、今回は西側の"パノラマ展望台"コースを取る。だがこのコース、大倉高原山の家辺りから、伊勢原方面が一瞥できるだけで、全く実態を表していない。しかしながら、ここで水の補給が、20円で出来るのは何とも有難い。この小屋を過ぎた辺りから、道がフラットになり、モミジの林間コースを進む。昨日の北鎌倉同様、正に目に染み入るような新緑である。愈々、この先から傾斜がきつくなり、ガレ場の斜面を黙々と登って行くと、艶やかな"ヤマツツジ"も現れ、疲れた体を癒してくれる。 12:00過ぎ、駒止茶屋(標高900m)に到着する。ここで、休憩を兼ねて昼食を取る。木々の切れ間から、表丹沢の三の塔(標高1205m)が望める。更に、薄暗い稜線を登って行くと、"ヤマツツジ"や"ツクバネウツギ"の花が、目を楽しませてくれる。所で、大倉尾根には、"馬鹿尾根"という不名誉な別名があるが、その理由の一つに、展望の利かない単調な尾根道を、延々と登ることにあると言われている。ただ、本日のように紫外線が強い日は、日焼けを嫌う女性方にとっては、格好のコースとなる。また、表尾根のようにアップダウンが激しくなく、家族連れや中高年の登山者に向く登山道でもある。上部の"金冷やし"同様、奇妙な呼称は慎むべきであろう。 12:45、天神尾根分岐点(標高1100m)に到着する。新緑の"アセビ"が何とも美しい。広場のベンチでは、中高年の女性が弁当を開いている。空席が無いので、ここをそのまま通過する。この先から、愈々花立て山荘(標高1300m)への急登が始まる。それにしても、この登りは何ともきつく、玉の汗が滴り落ちてくる。ふと、足元を見ると、可憐な青色の花が目に留まる。ここで、立ち止まって数枚撮影し、更に登っていくと、次々とこの花が現れる。どうやら、形からして、"コケリンドウ"のようである。更に、黄色の"カタバミ"(Oさん&Aさんから後日御教授)のあとは、次々と"ミツバツツジ"の大群落が現れる。陽光を浴びて、一斉に花開いた感じで、正に壮観である。 13:40、最後の急階段を登りきり、やっと花立山荘に到着する。遥か東方には霊峰・大山(標高1234m)が望める。ここで小休止後、更に塔ノ岳山頂を目指す。引き続き、"ミツバツツジ"が各所で開花している。行き交った女性の方によると、今年は"ミツバツツジ"の当たり年とか。断崖の雑木林の中にも、新緑の若葉に混じって、ピンクの"ミツバツツジ"が点在している。この光景を、超望遠で狙っていると、下山中の男性の方が、私の傍で立ち止まって見ておられる。立ち話をする中で、丹沢山(標高1567m)から戻ってこられる際に、塔ノ岳裏側で、満開の"シロヤシオ"を見かけられたとか。どうやら、この情報を伝えために、私が撮り終えるまで、待っていて頂いていたようである。何とも心優しい方である。最後の急坂を登りつつ、鍋割への分岐点(金冷やし)までくると、突如野生シカが現れる。角の形からして、昨年生まれた雄鹿であろうか。ふと崖下を眺めると、黄色の花が咲いている。ファインダーから見る限りでは、"オロフレ山"で見かけた、"イワオトギリ”か"ミヤマキンバイ"に似ているが、それとも違うようである。ここは、改めてAさんに伺うしかない。 14:28、やっと塔の岳山頂に到達する。だが、先を急ぐせいか、不思議と感慨が沸いてこない。そこで、早々に周辺の山々の写真を撮り終え、塔ノ岳北面に向かう。先程の方がおっしゃったとおり、見事な"シロヤシオ"が、北斜面に群生している。花をアップで狙うと、綺麗なラッパ状に開いており、先月の金時山のものより、生き生きとしている。また、この北面には、"ミツバツツジ"も混在しており、"シロヤシオ"とのコントラストが何とも美しい。遥か遠くには、丹沢の最高峰・蛭ヶ岳(標高1673m)が、優美な山容を惜しげもなく見せている。その手前の山は、不動ノ峰(標高1614m)であろうか。嘗て、あえぎながら越えていった、思いで多き山々である。ふと、目を下に転じると、面白い格好をした"シロヤシオ"が目に留まる。風雪に耐え、このような形になったと思われるが、"シロヤシオの盆栽"ともいうべき姿をしている。ここで、30分以上も粘ったであろうか。羊蹄山で味わった恐怖の下山を避けるためにも、そろそろ切り上げ、塔ノ岳へと戻る。15:06塔ノ岳山頂を後にする。 ややハードであったが、その甲斐あって、清楚な"シロヤシオ"や、艶やかな"ミツバツツジ"に出会え、有意義な一日となった。今後も、無理をしない範囲で、丹沢他の山々を楽しみたい。 《総歩数:27,500歩,登りの厳しさ:大倉~駒止茶屋(▲~▲▲),堀山の家~花立山荘~塔ノ岳(▲▲▲~▲▲)》 |