*** 2010年9月30日 層雲峡/摩周湖 ***
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9月29日(水)、室蘭工大での"技術開発基礎論"の集中講義終了後、夕刻大山氏(いすゞ自動車同期入社)と札幌で合流し、レンタカーにて3泊4日の道央/道東旅行に出かける。室蘭工大在職中は、思い切って休暇を取り、道東に出かける気になれなかったが、図らずも退任後に永年の友人・大山氏と実現するのも、何かの御縁であろう。行先は、初日が層雲峡のホテルまで,二日目が大雪山・黒岳(標高1984m)/層雲峡,三日目が摩周湖/屈斜路湖,最終日が知床/野付岬を予定している。 ただ、成行き次第で、行先が変更可能な、気楽な車旅である。 16:00前、特急スーパーカムイ35号の車内で、大山さんと落ち合う。その後、旭川駅で下車し、オリックスレンタカーにて車借用の手続きをする。ここでは、両耳にピアスを何個もぶら下げた女性が説明してくれるが、この業界は、このスタイルが普通なのであろうか。結局、ホンダ"インサイト"を借り受け、一路層雲峡のホテルに向かう。ただ、私は授業後の疲れもあって、本日のドライバーは大山さんにお願いする。走り始めると、大山さんから、スピードメータが見えないとの指摘がある。成程、スピードメータがステアリングホールに隠れ、視認性が極端に悪い。しかも、NAVIの位置が、ドライバー席から遠く離れており、操作性にも問題がある。何年式か不明だが、まだまだ作り込み品質の悪い車である。ここから、層雲峡に向けて、道央道をひた走る。途中、通行止めの情報もあったが、何事もなく"朝陽リゾートホテル"に到着する。所が、ホテルに一歩足を踏み入れると、何とも異様な雰囲気が漂っている。先ず、客が浴衣にうわっぱりではなく、だぶだぶのパジャマのような格好で、ロビーを歩き回っている。言葉からすると、どうやら中国人の団体客のようであるが、尖閣列島問題で中国からの観光客が激減していると思いきや、さにあらず、中国語が館内全体に響き渡っている。ホテルの案内係もなし、部屋に入っても土足と、正に中国人観光客の利便性に合わせた設定とな っている。結局、自分で荷物を部屋に運び込み、早速一階のレストランに食事にでかけると、ここでも中国人の係員が、癖のある日本語で席に案内してくれる。いずれにしても、ホテルは、経費節減と中国人対応に徹している模様である。きめ細やかな日本のおもてなし文化は、どこに行ったのであろうか。だが、現実に北海道の大型ホテルは、中国人観光客で成り立っているので、このような変貌も致し方ないかもしれないが、今回は、明らかに、ホテルの選択を間違えたようである。 9月30日(木)、早朝から強風が吹きすさび安眠できなかったが、本日は待望の大雪山・黒岳登山日である。早々に朝食を切り上げ、ロープウエイの駅に向かうと、何と強風のため運休中である。この分だと、何時運転開始か分からないので、大山さんと相談の結果、黒岳登山は諦め、翌日摩周岳(標高857m)を目指すことにする。ただ、希望者には、チケットの払い戻しに応じるとか。そこで、我々の分を見せると、これはホテルが発行したものなので、直接ホテルに依頼してくれと、つれな い返事である。仕方がないのでホテルに舞い戻ると、こちらも、宿泊料込みの料金なので個別の払い戻しには応じられないと嘯く。やはり、想定通りの答が返ってきたので、サービスの一部を提供できなかったのだから、その分を返却するのが当然ではないかと詰め寄ると、しぶしぶホテル内で使えるクーポンなら、応じても良いと宣う。所が、実際に渡されたクーピン券は、何と500円分(ケーブル料金の約1/4弱)である。子供騙しじゃあるまいし、余りにも客を馬鹿にした金額である。 押し問答の末、結局1000円分返却で決着がつく。図らずも、永年の中国出張で身をつけた交渉術が、功を奏した格好だが、何れにしても、二度とこのホテルグループ(野口観光)を利用する気になれない。 予想外に時間を浪費したが、これから層雲峡の景勝地に向かう。9:30、名瀑で有名な"小函"に到着する。本来なら、2本の流星・銀河の滝に映える紅葉が見事な筈だが、今年は猛暑の影響か、1~2週間見頃の時期が遅れている模様である。ただ、超望遠で狙うと、柱状節理の奇岩に根付いた樹木が、中国・黄山の水墨画の世界を彷彿させる。次に"大函"を訪問するが、名前とは異なり、意外と小じんまりした景観である。こちらも、全山紅葉には程遠く、一本のカエデを撮影してお茶を濁す。10時過ぎ、ここから道東方面に向けて車を走らせる。途中、石北峠(標高1050m)にて小休止する。大山さんの話だと、ここから黒岳が望めるようであるが、残念ながら、この名峰を特定できない。北見市に近づくと、艶やかなヒマワリが、畑一面に広がっている。ここで暫く道草して、この見事な光景を撮影する。超望遠で覗くと、花々の先にある蒲鉾型の小屋が、画面にアクセントを添えている。ここから、北見市内には入らず、ケミチップ湖に抜けるルートを取る。ダートコースを延々と進むと、静かなたたずまいを見せる湖が現れる。流石にここまでは団体客は押し寄せない模様で、観光客は我々以外に僅か2名、聞こえてくる言語も日本 語で、何故かほっとする。更に、ダートコースを摩周湖に向けて進む。国道240号線の舗装路に入ると、自然とスピードが上がり、勢い余って、阿寒湖を通り過ぎてしまう。その後、双湖台で小休止する。残念ながら、ここからは阿寒湖は望めないが、代わりに雄阿寒岳(標高1371m)が眼前に迫る。登山意欲を駆り立てる、中々見事な山容である。ただ、標高差が1000m程度もあり、それなりの体力と準備が必要なのは、言うまでもない。 15:20、摩周第一展望台に到着する。何とか日没に間に合ったが、光線の関係か、湖面の色は"摩周ブルー"とは言い難い。それでも、撮影意欲を駆り立てる、中々魅力的な光景である。南側の絶景ポイントまで来ると、その脇で、"エゾシマリス"が、しきりにカボチャの種を頬張っている。多分、人間様が餌付けしたのであろうが、カメラのシャッター音にもひるむことなく、食事に夢中である。ペットのシマリスより一回り小さく、一挙手一投足が、何とも愛らしい。明日の摩周岳登山に備え、登山口を確認したのち、摩周第三展望台に向かう。道路脇の駐車場に車を停め、石段を登ると、紺碧の湖が目に飛び込んでくる。中央のカムイッシュ島は、Wikipediaによると、4000年前の火山活動により誕生した溶岩ドームとか。湖底からは、実に200m以上もの高さがあるが、湖面に映る姿は正に浮島である。その背後に聳えるのが、同時期に噴火した摩周岳(カムイヌプリ=神の山)である。超望遠で覗くと、その荒々しい山容が、ファインダーいっぱいに広がる。明日の登山が何とも楽しみである。ここから、屈斜路湖畔を巡り、本日の宿に向かう。 17:30、屈斜路プリンスホテルに到着する。入口に近づくと、恭しくホテルマンが迎えてくれる。聞けば、野口観光系ではなく西武系とか。流石に、ホテルマンのマナーもしっかりしており、我々の荷物も部屋まで運んでくれる。また、浴衣でのフロント周辺の徘徊も禁止されており、朝陽リゾートホテルとは大違いである。 今夜は、このホテルで、十分くつろげそうである。 《走行距離》:9月29日;70km(旭川⇒層雲峡)、9月30日;252km(層雲峡⇒摩周湖⇒屈斜路湖) |