*** 2012年7月22日 草津白根山のコマクサ ***
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7月中旬、偶々テレビを見ていたところ、日本百名山の一つ・草津白根山(標高2165m)の見事な"コマクサ"を放映している。何でも、高山植物の女王"コマクサ"が山頂付近を覆い、今が丁度見頃とか。そこで、このタイミングを逃してはなるまいと、富士山登頂を果たしたばかりの大山さんを誘ったところ、22日以降の週であれば都合がつくとか。よって、22日/23日の両日、軽トレッキングを兼ねて、草津白根山/志賀高原を訪れることにする。所で、"コマクサ"と言えば、約3年前に室蘭のYさん宅で、白花を撮影したことがあるが、自然の大群落に接するのは、勿論今回が初めてである。一方、吾妻森林管理署のHPによれば、数十年前には盗掘により絶滅寸前にまでなったが、草津中学生徒や地元有志の地道な活動により、見事に復元されたとか。盗掘など論外であるが、登山客/観光客自身も、ストックや三脚でこの景観を破壊することがないよう、細心の注意を払うべきである。 8:10、ナビをセットし、落ち合い場所の草津白根レストハウス(標高2000m)に向かう。距離にして約250㎞、ルート検索では約5時間とでたが、本日は休日、途中で渋滞に巻き込まれることもなく、実質約4時間で同駐車場に到着する。早速大山さんに連絡を試みるが、何故か携帯が通じない。そこで、登山支度をしてレストハウスに向けて歩き始める。程なく大山さんと合流し、ここから約4km先のコマクサ群生地を目指す。所で、冒頭にも紹介した通り、大山さんは、富士山五合目から山頂まで、一日で往復した強靭な体力の持ち主であるが、私など2月の筑波山以来、山はとんと御無沙汰している。だが、今回は、草津白根山の緩やかな尾根を縦走するコースで、私でも何とか踏破出来そうである。 12:50、本白根山に向け登山を開始する。先ず、逢ノ峰(標高2110m)に勇んで登り始めたものの、途中で息切れし中々ピッチが上がらない。ふと足下に目を遣ると、"ゴゼンタチバナ"が道端を覆い、色付き始めた"ナナカマド"も姿を見せており、秋にはさぞかし見事な紅葉に変貌すると思われる。下りにかかると、一転して草原(スキー場)となり、"ニガナ","ハルジオン","ヒメジオン"等の外来種が、幅を利かせている。また、No.9の写真の通り、大ぶりの白菊も見られるが、これも外来種(Aさんによると"フランスギク")に間違いなかろう。だが、中には背高な"エゾニュー"も見られ、これは北海道に多く見られる植物である。何れにしても、元々は、牧草の"クローバ"に交じって渡来したのであろうが、白根山全体が外来種で覆わないことを願うばかりである。逢ノ峰を下りきると、本白根山に通じるリフトが現れる。だが、本日は視界不良のせいもあってか、閑散としている。そこで、大山さんが、コマクサの開花状態を係員の方に聞いたところ、今が正に見頃とか。 それを聞いて気が焦るが、我々は当然このリフトを使わず、山道を進むことにする。樹林帯に入ると、"モミ"の葉に似た樹が多くなる。見れば、"シラビソ"の名札が掛かっており、北海道に多い"トドマツ"と同じモミ属のようである。樹林帯を抜けると、枯木が目立つようになり、その一帯を熊笹がびっしりと覆っている。 多分酸性雨の影響と思われるが、何とも痛々しい。足元に目を転じると、真っ白な花が目に留まる。花弁は殆どが7枚であるが、中にはNo.16の写真のように8枚のものも見かけられる。これは、四ツ葉のクローバの如く、珍しいものであろうか。別途WEB上で調べたところ、"ツマトリソウ"とか。 14:26、最後の坂を登りきると、急に視界が開け、広大な旧火口が眼前に迫る。右手の砂礫地帯には、色取り取りの"コマクサ"が大群落を作っている。正に絶景、ここでじっくり腰を据えて、この可憐な姿を順次カメラに収めることにする。それにしても、赤からピンクまで、一体何株あるのであろうか。圧巻は、急傾斜のガレバに咲くピンクのコマクサであるが、生命力旺盛なイタドリをも凌駕している。何れにしても、ここまで回復させるのに、厖大な労力と時間がかかったであろう。 改めて関係者の皆様の御尽力に敬意を表したい。一方、望遠レンズで"コマクサ"を覗くと、食害されたような小さな穴が多く見られる。所で、"コマクサ"の天敵と言えば、"ウスバキチョウ"の幼虫が有名だが、この蝶の生存圏は大雪山に限定されている。してみると、穴をあけた犯人は、別にいることになる。空を見上げると、多くの小形の黒鳥が舞っており、背後からも「"コマクサ"と共に、"イワヒバリ"も戻ってきた。」と話す声が聞こえてくる。そこで、改めてネット上で検索してみると、"イワヒバリ"が"コマクサ"を突くシーンが公開されており、この鳥が犯人と見るのが順当な線であろう。でも、花を食べつくすウスバキチョウより、余程可愛げがあるのではなかろうか。 15:06、旧火口での撮影を十分堪能したので、次の群生地に向かう。ガイドブックによれば、新火口に向かう尾根道には、更に大規模な群落があるとか。だが、途中の平坦地にもコマクサが群生しており、旧火口から新火口にかけての略全域が、大群生地になっているようである。ただ、新火口周辺は、やや標高が高いせいもあってか、開花したばかりのコマクサが、みずみずしい姿を見せている。唯一残念であったのは、白花のコマクサに出会えなかったことであるが、これは次回に取っておきたい。16:12、満ち足りた気分で群生地を後にする。 今回は高山植物の女王"コマクサ"を求めて、急遽大山さんと共に草津白根山を訪問した。出発前は、精々数枚の写真が撮れれば良いと思っていたが、予想に反し、百数十枚もの可憐な姿を、カメラに収めることができた。機会があれば、"大雪のコマクサ"も狙ってみたい。 総歩数:約17000歩 登りの厳しさ:▲ |