*** 2012年11月20日 忍野八海と箱根の秋 ***
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河口湖ICから東富士五湖道路に入ると、右手に迫力満点の富士が望める。だが、途中にPAも無いためそのまま南下する。山中湖ICで高速を降り、忍野に向けて林間地帯を暫く行くと、自衛隊北富士駐屯地に突き当る。そのまま、駐屯地に入ってしまいそうだが、そこを左折して数分走ると、急に視界が開け、忍野八海に到着する。駐車場のガイドに言われるままに駐車すると、早速料金300円を請求される。確か平日は無料であったはずだが、最初から、カウンターパンチを喰らわされた格好であるが、それでも駐車場探に時間を費やすよりはましと考え、そのまま"忍野八海"の中心部に向かう。 11:08、最初の"湧池"に辿り着く。直径僅か7~8mの小さな池だが、富士の伏流水が昏々と湧きだし、その中を橙色のアルピノや鱒が優雅に泳ぎ回っている。次にその隣の"濁池"まで行くと、湧水が川となって下流へと流れており、その中に色々な水草が揺れている。嘗て、羊蹄山に源を発する真狩川を訪れた際は、川面全体が、清流にのみ生育する"梅花藻"で覆われていたが、それとも違う種類のようである。してみると、"濁池"の方が"真狩川"より汚染が進んでいることになる。ここから、"中池"に向かう。周辺には多くの店が立ち並び、正に忍野の繁華街の体をなしている。また、"中池"の中央部には、コンクリート製の枠で囲まれた"小池"が有り、そこだけが艶やかな青色に輝いている。ただ、大通りからそこに繋がる橋は、何故か閉鎖されたままである。そこで、改めて"小池"を眺めていると、観光客が店の中から出入りしているのが確認できる。つまり、店の中を通らなければ、この魅惑的な色彩の"小池"には、行き付けないようになっている。そこで、回り道をしてこの商店に入り、数多の呼び込みを振り切って、やっとのことで、この"小池"に辿り着く。湖面は、正に吸い込まれるような群青色で、被写体としては申し分ない。ただ、Wikipediaでチェックしたところ、何と"中池"全体が人工池で、忍野八海には含まれないとか。また、"水車"を動かすための水を、"湧池"より汲み上げているため、"湧池"の湧水量が激減し、9年前には池の縁の一部が崩落したり、"湧池"と繋がっている"濁池"の水質が、極端に悪化したとか。つまり、前述の"濁池"は、"梅花藻"が生育できないくらいに、水質が悪化してしまったことになる。私のHPの写真でも、キンギョ草に似た細葉の"梅花藻"より、太葉の藻が確認できる。一方、コンクリート壁で囲まれた"小池"も、当然人工池で、この見事な色合いになるまで、約10mも掘削したようである。商魂逞しいと言えばそれまでだが、これは明らかなまやかしであり、環境破壊にも繋がる愚挙ではなかろうか。私自身も、"客寄せパンダ"に引っかかった格好だが、結局写真を撮っただけで、何も購入せずに、この場を立ち去る。11:45、ここから、御殿場経由で、芦ノ湖に向かう。 13:20、元箱根の"箱根神社"に到着する。思えば、13年前に両親と共に訪れて以来だが、その後色々な出来事が有り、隔世の感がある。暫し感慨に耽ったが、"箱根神社"は当時のまま、私を迎えてくれる。無料駐車場周辺には、もみじの大木が見られ、正に見頃を迎えている。ただ、この撮影は後回しにして、一先ず湖面に立つ"平和の鳥居"まで降りて行くと、鳥居越しに、出航したばかりの"海賊船"が望める。この船が、徐々に近づいてきて、紅葉真っ盛りの"恩賜箱根公園"前を通過して行く。ここから、石段を上り、第四鳥居を通過する。最後の第五鳥居をくぐると、立派な社殿が現れる。その壁面は、ややくすんだ朱色に塗られており、これが荘厳さを倍加させているように見える。箱根神社HPによると、創建は八世紀の奈良時代に遡るとか。また、何度か登った"箱根駒ヶ岳"山頂(標高1356m)には、"箱根元宮"が有り、箱根神社の"奥宮"に当たるそうである。要するに、"大山阿夫利神社下社"と"山頂奥社"の関係に酷似しているが、"箱根神社"の方がややスケールが大きいと言える。社殿にて参拝後は、なだらかな坂道を下って駐車場へと戻る。途中、黄葉したもみじも見られたが、やはり駐車場前の紅葉の方が、色も鮮やかで見ごたえがある。ここから、富士の絶景を求めて、"恩賜箱根公園"に向かう。 14:00、"恩賜箱根公園"駐車場に到着する。緩やかな階段を登りきると、急に視界が開け、やや霞の掛った富士が望める。公園右手の植木の間からは、お椀を伏せたような"箱根駒ヶ岳"が顔を出している。芦ノ湖との標高差は633m、現在の私の体力では3時間はかかろうか。それでも、チャンスを見つけて、再挑戦したいものである。公園の奥に進むと、展望台に辿り着く。ここでは中老と思しき方々が、熱心に水彩画に勤しんでおられる。芦ノ湖にせり出した半島には、嘗て両親と宿泊した"竜宮殿"が望める。ふと、当時何気ないことでから、亡き父と口論になったことを思い出す。正に、"When I wish to be filial, my father is gone."の心境である。ここから、箱根関所を経て、自宅に戻る。 |