*** 2013年10月15日 浄土平の秋 ***
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10月15日(火)、本日は新たな絶景を求めて、吾妻スカイライン/裏磐梯五色沼に向かう。当初は、先に裏磐梯を訪れる予定であったが、台風26号来襲に伴い、午後から天候悪化が懸念されるため、登山を優先して、吾妻スカイラインの浄土平を目指すことにする。思えば、若かりし頃、故鈴木健司さんの故郷である福島県いわき市平(たいら)をベースに、同ルートを逆コースで巡って以来である。従って、私にとっては、40数年ぶりのセンチメンタルジャーニーということになる。 08:20、早目の朝食を取り、一夜の宿"喜ら里"の路地裏を抜けて、駐車場に向かう。目的地の順番が変わった関係で、大山さんにナビを再設定して頂き、いざ出発である。国道459号線(通称ミドルライン)を北上し、土湯で左折して国道115号線に入る。その延長が国道30号線となり、暫く走ると右手に磐梯吾妻スカイラインへの分岐が現れる。ナビのアナウンスによると、この有料道路の料金は1350円とか。以外に高いので吃驚していたところ、料金所と思しき建物周辺が工事中で、ゲートは見当たらない。幸運なことに、料金不徴収となった模様で、ナビの情報が少し古かったようである。別途Wikipediaを調べたところ、山岳有料道路として開通したのが1959年、無料開放されたのが本年7月25日とある。してみると、ナビの情報が、極端に古いわけではなかったことになる。暫く進むと、霧がかかり始め、これが益々濃くなっていく。大山さんは、ライトを点灯して、安全運転に徹しているが、急に霧の中から無灯の対向車が現れる。濃霧の際は、フォグランプ等で、自分の居場所を相手に知らせるのが、お互いの安全にとって、最重要であるのは言うまでもない。こんな話をしつつ、更に標高を上げていくと、幸運にも霧が晴れ、枝が曲がりくねった巨木が目立つようになる。葉の一部は黄変しかけており、道南の山々で良く見かけた"ダケカンバ"に間違いなかろう。 09:16、浄土平(標高1600m)駐車場に到着する。この北側には、荒々しい一切経山(標高1948.8m)が鎮座している。山腹からは盛んに噴煙を上げており、超望遠で覗くと、噴気口付近が硫黄の結晶で黄色く変色しているのが確認できる。その反対側には、吾妻小富士(標高1708m)が、なだらかな裾野を広げている。本来なら、一切経山に挑戦したいところだが、楽をして吾妻小富士を目指すことにする。10数分で登りきると、景色が一変し、雄大な火口が眼前に迫る。別途ネット情報によれば、最後の噴火が約6000年前、火口直径が約500m、火口底までの深さは約70mとある。活動時期は羊蹄山(2008年9月14日参照)と偶然一致するが、火口はやや小規模であると言える。 それでも、中々迫力満点で、火口壁の溶岩塊も最近噴火したように生々しい。その後も、未だ余力が有ったので、大山さんと相談の結果、最高点に向かうことにする。所が、登り始めた途端、にわかに雲が湧き上がり、そのうち猛烈な横殴りの風が吹き始める。油断していると、足を取られて火口に転落しそうになる位であり、ざっと言って風速20m/sec.はあろうか。ただ、ここで怪我をしては元も子もないので、最高点到達は諦め、元の位置に戻って、眼下の"浄土平の秋"を超望遠で狙うことにする。 南西の稜線には、"ダケカンバ"が日の光を浴びて、黄金色に輝いている。何とも神々しい光景であり、ふと、ニセコアンヌプリ(2009年10月19日参照)を思い出す。この時は、山麓の谷間に、"ダケカンバ"の大群落が見られたので、浄土平が、ニセコの山麓と似た環境にあることを意味している。そんな感慨に耽りつつ、カメラを振って行くと、今度は真っ赤に色付いた"ナナカマド"が目に留まる。これは、火口壁にも多く見られ、安達太良山と違って、葉の縮れは見られない。なぜこの差が生じるのか、疑問が湧くが、これ以上詮索しないことにする。十分に撮影を堪能したので、ここから下山して、近場から第二の"浄土平の秋"を狙うことにする。 10:43、浄土平の道路脇に駐車すると、目の前の小山が艶やかな紅葉と黄葉の大木で覆われている。望遠レンズで覗くと、葉形から、"ナナカマド"と"ダケカンバ"であることが判かる。何とも見事なコントラストであり、日光を求めて、お互いが鬩ぎあっているように見える。目を西に転じると、山全体が黄色の"ダケカンバ"で覆われ、その中に赤色の"ナナカマド"が点在している。こちらは、明らかに、"ダケカンバ"の勢が勝っていることを表わしている。なお、羊蹄山(2008年9月14日参照)山頂付近には、樹高1m足らずの矮小化した両木が見られるが、"ダケカンバ"は同種、"ナナカマド"は異種の"ウラジロナナカマド"のようである。何れも、暑さには弱いが寒さには滅法強く、生命力も旺盛な木々であるのは間違いなかろう。十二分に浄土平の秋を楽しんだので、新たな被写体を求めて裏磐梯五色沼に向かう。 |