*** 2013年11月1日 愛鷹山の秋 ***
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11月1日(金)、同月5/6日の谷川岳(標高1977m)の前哨戦として、富士山の真南に位置する"愛鷹山"(標高1504m)に、三度目の挑戦をする。登山口となる十里木駐車場からの標高差は644mと、谷川岳より少しあるものの、傾斜はやや緩く、若干楽な山と言える。だが、前回の"愛鷹山"では、登りに3時間以上も要し、私にとって決して侮れない山ではある。また東名の工事渋滞に巻き込まれ、図らずも遅い登山開始となったので、日没までに帰還できるよう、前回よりスピードを上げる所存である。 12:47、十里木駐車場を後にする。平日とあって登山客は見られず、行きかうのは、十里木展望台から引き返してきた数人の観光客のみである。それもその筈、富士山は厚い雲に覆われ、姿を現わす気配は全く見られない。従って、無理してこの急階段を登る観光客は、余程の物好きということになる。ただ、私は登山訓練が目的なので、十里木展望台で素早く昼食をとり、ここから灌木地帯を黙々と登って行く。途中、北海道で良く見かけた"ハウチワカエデ"が目に留まる。所で、"カエデ科"は種類が多く、名前を特定するのは容易ではないが、このカエデだけは、"ヤツデ"を矮小化したような形をしているので、判別は簡単である。45分程で"笹峰"手前まで来ると、見掛けない白花が草叢を覆っている。別途ネット上で調べても、名前の特定には至らなかったが、Aさんによると、"ノコギリソウ"とか。流石にAさんである。それにしても、周辺に紅葉は見られず、何となく殺風景である。 13:40、笹峰の鞍部に到着する。周辺には、小振りのモミジが色付いており、これを撮影していると、下山してこられた中高年の御夫婦に出くわす。私の姿を察してか、「撮影しながらだからだと、あと二時間程度掛りそうですね」と仰る。更に、「地元の方ですか?」と聞かれたので、「横浜からですが、これで三度目です」と答えると、「それなら大丈夫ですね!」と返答される。ただ、何処かで聞き覚えのあるアクセントに思えたが、考えてみれば、70年代初頭のドラマ"細うで繁盛記"で、"富士真奈美"が演じた"正子"の口調にやや似ている。よって、御夫婦は地元静岡の方ということになろう。いずれにしても、大変親切な方々である。ここから、愈々急登が始まるが、中々ピッチが上がらない。念のために、ヘッドランプは持参してきたが、できれば、使いたくないものである。木の根が覆う山道を用心して登って行くと、谷間の一角に、艶やかなモミジが垣間見える。本来なら、ここでじっくりと腰を据えて、撮影に熱中したいところだが、先を急ぐ関係で、後回しにする。山頂間近になると、真っ赤なモミジの大木が現れる。画像を拡大再生してみると、中央の葉が異様に長く、全ての葉に細かな切れ込みが見られる。別途ネット上で調べた限りでは、どうやら、"コミネカエデ"のようである。実にユニーク且つ愛らしい姿である。 15;29、何とか"愛鷹山越前岳"山頂に辿り着く。後半はややばて気味であったため、思いの外遅い到着となったが、この分だと日没までには下山できそうである。山頂に立つと、"位牌岳"や"呼子岳"は雲に覆われ、眼下の谷間から、猛烈な勢いで雲が吹き上がってくる。景色も刻々変化し、正に幻想的な雰囲気ではあるが、体も急に冷えてきたので、レンズを交換しつつ、早急に撮影する。ただ、雲間から垣間見られる西尾根の紅葉は今一つで、何となく消化不良の感がある。あとは、下山時に、先程の谷間の紅葉を狙うしかあるまい。 16:03、脱兎の勢いで急坂を下ってきたので、未だ辛うじて撮影できる明るさである。だが、谷間のモミジまで近づくのは危険なので、手前で足場を確保しつつ、この見事な紅葉を、420mm超望遠で狙うことにする。改めて画像を確認してみると、ぶれも目立たず、何とか様になっている。また、葉形も先程"笹峰"で撮影した紅葉と、同一の模様である。してみると、越前岳北面のモミジは、意外や、"コミネカエデ"が多いということになる。 16:53、太陽も先程西の空に沈み、急に夕闇が迫ってくる。そこで、カメラをザックに仕舞いかけたところ、急に雲が晴れ、富士山が姿を現す。これを逃してはなるまいと、数ショット撮影し、画像を確認後にふと見上げたところ、既に富士山は雲に覆われてしまっている。正に一瞬の出来事であったが、頑張った御褒美に、富士山が雄姿を見せてくれたのかもしれない。満ち足りた気分で、坂道を下る。 今回は、大学祭で休講の合間に、2年ぶりに"愛鷹山"に挑戦した。本来は、谷川岳登山の事前訓練であったが、見事な紅葉や富士山を撮影することができ、有意義な休日となった。来秋は、Aさんから提案の有った南側の須津渓谷も訪れてみたい。 登りの厳しさ:▲▲~▲▲▲(一部▲) 総歩数:10,564歩 |