*** 2014年9月30日 愛鷹山の秋 ***
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9月30日(火)、来月14/15日の福島・一切経山(標高1948.8m)/安達太良山(標高1700m)の前哨戦として、富士山の真南に位置する"愛鷹山"(標高1504m)に、略一年ぶりに挑戦する。十里木登山口と最高峰越前岳間の標高差は、先日の大倉尾根の堀山の家までと略同等であり、体力を比較するには恰好の山である。 10:37、十里木駐車場を後にする。天気予報では本日は快晴であったが、残念ながら、富士の裾野から上は厚い雲に覆われ、姿を見せる気配は全く感じられない。それでも、途中で雲が晴れるのを願って、最初の急階段を黙々と登っていく。途中の日当たりの良い場所には、キク科の花(シロヨメナ?)や紫色の"アキノタムラソウ"が見られる。カヤトに覆われた日蔭では、薄紫の"ノコンギク"がひっそりと咲いている。そうこうするうちに、展望台が現れるが、昼食には少々早いので素通りし、灌木地帯を進むと、足下に独特の形をした"トリカブト"が多く見られるようになる。全体的には薄紫色が殆どだが、中には濃紫色のものも確認できる。ふと、オーストリアの名峰Loser山(2002年7月13日参照)のトリカブトを思い出す。当時、御一緒したDr.G.Krisperによると、中世ヨーロッパに於いても、トリカブトの猛毒が毒矢に用いられていたとか。一方、Wikipediaには、毒矢の文化圏を、(1)東北アジア/シベリア/アラスカ,(2)東南アジア,(3)アフリカ,(4)南アメリカの4地域に分類しているが、先史以来群雄割拠した欧州が欠落しているのは、論理矛盾と言わざるを得ない。我に返ると、頭上に真っ赤な果実が目に留まる。表面の突起からして、先日大倉尾根で見かけた"ヤマボウシ"に間違いなかろう。この光景を写真に収めていたところ、背後から「ヤマボウシですか?」と声をかけられる。振り向くと、下山中の男女4人の中高年グループであるが、その中の一女性が、植物に御詳しそうである。それにしても、近年山ガール(登山女子の方が相応しい?)の進出は、凄まじいものがある。 11:40、"笹峰"の展望台に到着する。晴天なら、この正面に、雄大な富士が大きく裾野を広げているはずだが、相変わらず厚い雲に姿を隠したままである。それでも、富士と対面する形で座り、ここで早めの昼食を取ることにする。一番山寄りのテーブル上には、数個の"ヤマボウシ"の実が、無造作に置かれている。まさか先程の方々じゃあるまいが、人が齧った様な跡もあり、マナーの悪さに閉口する。ここで、10分間程休憩したであろうか。少々体が冷えてきたので、そろそろ重い腰を上げることにする。この先の"馬ノ背"から、愈々急登が始まる。巨石が露出した急坂を越え、薄暗い尾根道を黙々と登っていると、下山中のグループとすれ違う。その御一人から、「頑張って下さい!山頂で暫く待っていると、富士山が姿を現しますよ。」と励まされる。その声に奮い立ち、気合いを入れ直したものの、中々ピッチが上がらない。どうやら、最初の急階段で焦ったせいで、ペースを乱してしまったようである。 12:37、"ミヤマシキミ"の群落地帯を通過する。今が正に見頃で、真紅の実が実に艶やかである。ところで、昨年11月初日に訪れた際にも、同様の光景が見られたが、今年は冷夏の影響で、熟する時期が一ヶ月程度も早まったのであろうか。更に登ると、やや荒れた登山道脇には、紅葉し始めた"ツタウルシ"が、朽木にへばり付いている。ただ、何れも道南のそれに比べて小振りで、生樹に絡みつき絞め殺す勢いは無さそうである。山頂に近づくにつれ、赤く色付いた"ナナカマド"の実や、"コミネカエデ"が見られるようになる。また、台風17号の影響か否か不明だが、葉先が縮れて枯れてしまったものも多く、何となく痛々しい。何れにしても、今年の紅葉は、昨年より早まっているのは確かであろう。 14:05、やっと越前岳山頂に到着する。残念ながら、これまでの最長となってしまったが、今の体力では致し方あるまい。山頂周辺には、可憐な"リンドウ"が開花しており、まるで苦労して辿り着いた登山者を祝福しているかのようである。そうこうする内に、富士見峠側から一人の若者が姿を現す。軽く会釈をしたのち、「こりゃ駄目だな!」と呟いたあと、濃霧の"呼子岳"へと去っていく。視界不良の中、痩せ尾根を走り下るとは、周辺の登山道を知り尽くした、かなりのベテランであろう。一方、勢子辻尾根側からも霧が舞い上がり、山頂付近を覆う勢いになってきたので、私も元来た道を下山することにする。 登りの厳しさ:▲▲~▲▲▲(一部▲) 総歩数:9,693歩 |