*** 2015年3月10日,11日 谷川岳山麓スノーシューウオーク ***
写真や下の文字をマウスでクリックすると大きく表示します。
3月10日(火)/11日(水)の両日、何時もの大山さんと、谷川岳山麓に出かける。当地訪問は、これで三度目だが、早春の積雪期は今回が初めてである。その切っ掛けとなったのが、一昨年の秋に宿泊したホテルからの"雪上を歩くスノーシュープラン"の案内である。私自身にとっても、丹沢や道南の雪山の経験はあるものの、スノーシューで深雪に踏み入れたことはなかったので、この際初日にガイド付半日ツアー参加して慣れ、翌日は我々単独で、旧道(291号線の廃道)をマチガ沢/一ノ倉沢まで歩き、白銀に輝く谷川岳の雄姿を、写真に収める所存である。ただこれが、如何に無謀な計画であったか、後で思い知らされる羽目になる。 3月10日、7:00起床。日本海側は、発達した低気圧による大荒れの天気で、群馬県側も悪天候が予想されるが、好天を期待して予定通り出発する。今回は、新横浜駅まで車で行き、周辺の有料パーキングに駐車したのち、東海道新幹線で東京駅に向かう。ここで、上越新幹線に乗り換え、上毛高原駅で大山さんと落ち合うことにする。このルートだと、最短の2時間弱で、上毛高原到着とあいなる。 11:10、"たにがわ405号"は延着することもなく、上毛高原駅の2番ホームに滑り込む。大山さんと改札前で無事合流し、ここから大山さんの車で水上温泉に向かう。新幹線の窓からの天気は上々で、青空も垣間見られたが、遥か彼方の谷川岳方面には暗雲が立ち込め、白銀に輝く谷川岳など、望むべくも無い。それでも、一瞬の晴間を願って、ツアーに参加することにする。途中の蕎麦店で昼食を取ったあと、一旦本日の宿"KKR水明荘"に立ち寄る。ここで、ツアー会社MAXのワゴン車にピックアップして頂き、集合場所に向かう。事務所に案内されると、今回の参加者は、我々以外に若者三人の計五名で、全員スノーシューは未経験である。ツアーガイドのGさんによると、本日は利根川支流の"湯檜曽川(ゆびそがわ)流域の散策とか。ここで、初めて行先が明らかになったが、これはガイドの専権事項で、当日の積雪も考慮して決定されるとか。してみると、参加者には事前に行き先も分からず、且つ選択の余地が無いわけで、これではリピーターは皆無であろう。 13:10、準備体操をして愈々出発である。だが、先程の予想通り、"湯檜曽ダム(砂防ダム)"周辺は地吹雪が舞う始末で、レンズ交換はおろか、撮影も儘ならない。従って、撮影は諦め、スノーシューによる雪原散策に徹することにする。所で、スノーシューと言えば、嘗て道南の雪山の急斜面で、何度かその必要性を感じたものの、10Kg程度のカメラ機材以外に、更に約3kgのスノーシューを加えると、私の体力では持参するのを諦めざるを得なかったのが実態である。今回緩斜面で初めて使ってみて、深雪ではそれなりに有効であるものの、片足に体重を掛け過ぎると深く潜り込み、バランスを崩して転倒しそうになる場面も多々あり、ガイドの方のように、"エリマキトカゲ"の如く雪面を駆け下るには、それなりの経験が必要ということも体得できたと言える。そうこうするうちに、雪も小降りになってきたので、おもむろにザックからカメラを取り出し、周辺の雪景色を標準ズームで順次撮影する。 14:40、雪のブリッジを越え、"サワグルミ"の林を抜けると、見晴らしの効く"湯檜曽川大雪原"に出る。だが、残念ながら、その奥の谷川連峰や白髪門は、雲間に隠れたままである。また、広大な河川の両側には、クレバス状の亀裂が見え隠れし、通過する際は注意を要するが、中央部は土砂で埋まっているため、安心して歩くことができる。つまり、"湯檜曽ダム"自体は、両山から流入する大量の土砂で完全に埋まり、"砂防ダム"としての役割を終えてしまったことになる。また、川の一角にも木々が見られ、ガイドのGさんによると、"ハンノキ"と"ヤナギ"とか。中々、植物に造詣の深い方のようである。ふと、植物博士のAさんから、"ヤナギ"は種類が多く、それを特定するのは容易でないと伺ったことを思い出す。そこで帰宅後、改めてネット上で検索したところ、東京大学・指村奈穂子氏他の「湯檜曽川における水辺林のモザイク構造とユビソヤナギ林の成立」がヒットする。本論文によると、"オノエヤナギ,オオバヤナギ,ユビソヤナギ"が、周辺で夫々の群落を形成しているとのことである。なお、詳細を知りたい方は、以下のWEBをご覧いただきたい。ここから元来た道を戻る。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs/90/1/90_1_17/_pdf 3月11日(水)9:10、"KKR水明荘"を後にし、コンビニで昼食を仕入れたのち、土合口駅に向かう。昨日のガイドの方の話では、山麓の旧道は雪崩で寸断され、嘗てそれを強引に乗り越えようとした登山者が、滑落して死亡したとか。従って、"一ノ倉沢"の絶景を望むなら、湯檜曽川沿いのルートを取るべきと仰る。だが、我々も貴重なアドバイスを念頭に置きつつも、更なる絶景が期待できる旧道を、先ず覗いてみることにする。土合口駅を過ぎ、急カーブを曲がると、何時もはあるはずの車用ゲートが取り外されている。これ幸いとそのまま進むと、僅か50m程で、雪のバリアで行き止まりとあいなる。早速車から降りて確認してみると、人の背丈の何倍もありそうな雪の壁が、行く手を遮っている。妖怪ウオッチの"コマさん"なら、「モンゲ―! 雪の妖怪ズラ!!」とでも言い出しそうなくらいの圧倒的迫力である。この最初の壁でさえ、我々の装備では乗り越えられないので、後は推して知るべしである。よって、ここでUターンして、土合駅の駐車場まで戻り、スノーシューに履き替えて、再度湯檜曽川沿いを歩くことにする。 10:07、土合駅前を出発する。国道291号線の脇を進み、昨日のツアー会社MAX脇の"湯檜曽ダム"から、雪の斜面に分け入る。昨日の足跡は完全に消え伏せ、前日からかなりの積雪が有ったことを窺い知ることが出来る。"湯檜曽川大雪原"に出ると、谷川連峰が霞んで見える。昨日より、やや視界が効くようにはなったものの、相変わらず谷川岳や白髪門の全貌を拝めそうにない。それでも、一瞬の雄姿をカメラに収めるべく、更に湯檜曽川を遡ることにする。昨日の最終到達点を過ぎ、その先の"サワグルミ"林の中で、早目の昼食を取る。それにしても、スノーシューとは何とも扱いにくい代物で、履いたままで一旦座り込むと、立ちあがるのに難儀する。 12:20、川筋に沿って順調に距離を稼いで行ったが、急に先細りになり、遂に行き止まりとなる。川幅もざっと10m近くもあり、ここを渡渉して対岸に辿り着くには、かなりの危険を伴いそうである。また、"雪のイノシシ"にも似た中州の下手に、雪のブリッジも確認できるが、これを乗り越えるには、更なる危険が待ち構えているような気がする。よって、未だ早い時間帯だが、ここから引き返すことにする。土合口駅下まで戻ってくると、先陣を切る大山さんが急に立ち止まっている。見れば、何と特別天然記念物の"ニホンカモシカ"と鉢合わせである。そう言えば、10数年前の丹沢ユーシン渓谷(2002年1月29日,30日参照)でも、"ニホンカモシカ"に遭遇したが、この時も暫くにらめっこが続いたと記憶している。何れにしても、中々好奇心旺盛な動物のようだが、人を恐れないでこちらを向いてくれるので、実に優秀なモデルと言える。私自身も、シャッターチャンス到来とやや興奮気味であったが、レンズ交換のため下を向いている間に、姿を見失ってしまう。大山さんに確認いた所では、雪の斜面を駆け上がっている最中とか。それでも、途中で立ち止まり、律儀にポーズを取ってくれる。改めて、オリジナル画像を拡大してみたところ、実に愛らしい黒目をしているものの、小さな角も確認できるので、若いオスであろう。何となく名残惜しい気もするが、お互いに住む世界が違うので、これでお別れである。これも、カメラが取り成す一種の"シンクロニシティー"であろうか。ここから土合駅駐車場に戻る。 13;50、駐車場でスノーシューを外し、やっと自由の身になる。ただ、上越新幹線の出発まで、3時間半もあったので、急遽"日本一のモグラ駅"を探検することにする。土合駅ホームは上下線で異なり、下り線ホームは地上の上り線ホームに対して81m下にあるため、下り電車に乗る際は、486段にも及ぶ階段を降りて行く必要がある。実際に、連絡通路を通って、地底のホームへと下っていくと、果てのないトンネルを潜っていくような錯覚に陥るので、この奇妙な駅名に合点が行く。また、階段右手には、エスカレータを設置できそうなスペースは有るものの、そこを地下水が音を立てて流れ落ちている。Wikipediaによると、一日の乗降客は僅か20名程度で、これではエスカレータを設置してもペイするのに、何千年~何万年も要するであろう。また、時刻表を見ると、この時間帯の列車は3時間に1本で、13:50分に下り列車が到着した筈であるが、この階段を登ってくる客とはすれ違わなかったので、結局下り線の乗降客はゼロと言うことになる。また、この客数では、無人改札口とならざるを得ないのは、言うまでもい。なお、上下線ホームでこのような高低差が生じてしまった理由については、同WEBに詳述されているので省略する。ここから、スノーシュー返却のため、"ジャグスポーツ"に立ち寄ったあと、上越新幹線上毛高原駅に向かう。 今回は、3月10日/11日の両日、大山さんと共に谷川岳周辺のスノーシューツアーに初挑戦した。二日共生憎の天気であったが、幸運にも"ニホンカモシカ"にも出会え、谷川岳の自然を十二分に堪能することが出来た。次回は、秋頃に新たな百名山に挑戦したい。 1日目歩数: 5,593歩(但し緩やかな雪面の歩行なので正確さを欠く) 2日目歩数:11,139歩(同上) |