*** 2016年11月8日 奥久慈の秋その2 ***
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11月8日(火)、本日は晴天、ホテルの部屋の窓下には、"久慈川"の支流"滝川"が流れており、その川沿いには色付き始めたモミジが見られる。その先には奥久慈の山々が、朝日に輝いている。本日登山予定の"奥久慈男体山"は望めないが、"月居山"と思しき山麓からは、朝霧が湧き出し、絵も言えぬ雰囲気を醸し出している。これらの光景を撮影後、本日の予定について、大山さんと相談の結果、先ず"永源寺"を再訪したのち"袋田の滝"に向かい、最後に"奥久慈男体山"にチャレンジすることとし、当初予定していた"柳田圀男記念公苑"見学は又の機会に先送りすることにする。 8:19、"永源寺"に到着する。早い時間帯のせいか、訪れる観光客も少なく、この分だと撮影に熱中できそうである。また、狙い通り真紅のモミジに日光が当たり、昨日に比べて色相/明度/彩度共格段に向上している。これらの相乗効果で、立体感も増したように感じられる。"光の画家・レンブラント"ではないが、艶やかな色彩の被写体を撮影する上で、日光の大切さを再認識する。早速レンズを交換しつつ、あらゆる角度から、この光景を撮影する。ただ、本日も盛り沢山の予定であるので、境内には入らず、門前のモミジのみに留め置く。それでも、30分程撮影に熱中したであろうか。満ち足りた気分で、次の目的地"袋田の滝"に向かう。 9:05、"袋田の滝"手前の土産物店(何か購入すれば無料)横に駐車し、入口に向けて"滝川"沿いを歩き始めると、色づき始めたモミジが目に留まる。この分だと、紅葉真っ盛りの"袋田の滝"に巡り合えそうである。入口で300円也の入場料を払い、トンネル内に入ると、赤蛇のようなイルミネーションが、畝って奥へと続いている。外国人による"茨城県北芸術祭"の作品とのことだが、違和感は否めない。それはさて置き、"第一観瀑台"まで来ると、見上げるような大滝(高さ120m/幅72m)が眼前に迫る。6年半ぶりに眺める光景だが、単に規模だけでなく、流れ落ちる姿も実に優美で、やはり"日本三大名瀑"に選定されただけのことはあると実感する。ただ唯一残念なのは、滝の両側の紅葉が今一であったことだが、これは黙って受け入れるしかあるまい。所が、エレベーターで"第二観瀑台"に上ると、正に息をのむ光景が広がっている。つまり、大滝を真中に、左に色付き始めた"ヤマモミジ"、右に黄葉真っ盛りの"イヌナラ"を配した絶景である。この全貌を先ず20㎜超広角で捉えることにする。やはり、紅葉の度合いは、木々によってまちまちであるので、行ってみないと分からないというのが実態である。ここから、更に階段を登って上の展望台に辿り着くと、目線が上段の滝口と略同じ高さとなり、その奥も望めるようになる。そこで、標準ズームで全景を撮影したのち、望遠レンズで優美な滝の流れを追うことにする。2段目の滝口に焦点を合わせると、滝水が堰を越えることなく、岩を透過して流れ落ちているように見える。余談ではあるが、この観察が正しいとすると、その理由としては、岩盤自体が透水性を有しているか、或いは岩盤に亀裂が生じているか、はたまた水による浸食の何れかが考えられる。一方、"茨城大学地質情報活用プロジェクト"によると、"袋田の滝"自体は、1500万年前に噴火した海底火山の断面とのことなので、噴出したマグマが海水に直接触れた際に、急激に冷やされ亀裂が生じたと考えるのが妥当であろう。つまり、1500万年前の痕跡のお蔭で、現在も優美な滝の姿が保たれているのではなかろうか。ここから、エレベーターで下り、つり橋を渡って対岸の道に出て、駐車場へと戻る。途中の"滝川"には巨石がごろごろしており、"袋田の滝"の岩盤と同じ褐色の地肌に、灰白色の小石が混じっている。同プロジェクトによると、こちらは"礫岩"と称し、土石流によって運ばれた土砂が固まったものとか。何れにせよ、"袋田の滝"周辺の地質は、人類が登場する以前の海底火山の噴出物が、母体になっているということになる。ここから、次の目的地"奥久慈男体山"を目指す。 |