*** 2012年10月21日 金時山 ***
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10月21日(日)、雲一つない青天に恵まれたので、久々に箱根・金時山(標高1213m)に出かける。狙いは、新雪を頂いた名峰富士であるが、登山道脇の花々に出会うのも楽しみである。また、今回は、11月5/6日の両日、大山さんと共に探訪予定の妙義山/谷川岳の前哨戦でもある。 9:00自宅を出発し、一路南足柄に向けて車を走らせる。絶好の行楽日和とあって、東名高速では渋滞に会うかと思ったが、以外に順調だったため、2時間弱で登山口となるゲート前に到着する。ただ、人気のコースだけあって、駐車場は既に数十台の車で満杯状態である。それでも、運良く少し離れた所に、一台分のスペースが見つかったので、そこに駐車し、先ず猪鼻砦を目指す。山道周辺の木樹は、未だ緑のままであるが、代わりに"ノコンギク","リンドウ","トリカブト"他の花々が、艶やかな姿を見せてくれる。また、その蜜を狙って、蜜蜂や熊蜂が飛び回わり、正に秋たけなわであることを実感させてくれる。この間、私が花々の撮影に熱中している間にも、何人もの登山客が追い越して行く。この分だと、山頂は人で溢れかえるのではなかろうか。 11:27、結局40分弱もかかって、やっと猪鼻砦に到着する。展望台の先には、山頂に少し雪を被った富士が、優美な裾穂を広げている。早速、レンズを交換しつつ、この絶景を順次撮影する。420mm超望遠で狙うと、河口湖から山頂に至る登山道が確認できる。この先から、いよいよ金時山への急登が始まる。ただ何分体力がないため、急坂を直登せず、ジグザグに進む。しかしながら、道幅が狭くなるにつれ、これもかなわなくなり、急に動きが鈍くなる。それでも1/3位は登ったであろうか、山道の曲り角では、70歳位と思しき方が立ち止まり、後進に道を譲られている。すれ違いざまに、首から掛っているカメラに目を遣ると、何処かで見たような形をしている。そこで、思い切ってカメラの機種を尋ねると、何と私と同じEOS5DmarkⅡとか。これも何かの御縁と、ここで暫し立ち話をする。結局2~3分は喋ったであろうか、私の写真ホームページのURLをお知らせしてお別れする。所が、その後も中々ピッチが上がらず、この方に直ぐに追いつかれてしまったので、以降行動を共にすることになる。中間点の休憩地では、写真談義に花が咲く。お名前はMさん、御歳73歳で、病み上がり後の試登とのことであるが、どうしてどうして、私よりも余程タフである。写真歴を伺うと、何とプロ写真家"白籏史朗"氏から、指導を受けられたとか。所で、"白籏史朗"氏と言えば、著名な山岳写真家であるが、私も10数年前に、NHKBS番組「白籏史朗パキスタン高峰の花園に魅せられて」を録画し、繰り返し見た覚えが有る。要約すると、白籏氏が約10年前に、名峰"ナンガパルバット"(標高8125m)山麓の"ディアミール谷"で会ったお花畑が忘れられず、登山隊を編成して、1999年7月に再訪されたものの、花々は牧牛に食べつくされ、糞だらけの草地に様変わりしていたという内容である。なお、この谷の先には、標高差3000m以上もの"ディアミール壁"が、屏風のようにそそり立っており、ここで超人ラインホルト・メスナーの弟ギュンター他、何人もの有名登山家が滑落死している。私自身も、2年半前にパキスタン北部を訪問した際に、"ナンガパルバット"(2010年3月31日参照)の雄姿を、420mm超望遠で撮影したが、山頂から切れ落ちる"ディアミール壁"の迫力に、圧倒された覚えが有る。私からは、Mさんにこのような話をしたが、これも何とも不思議な巡り合わせである。その後も、Mさんから、富士の絶景ポイント他、色々お教え頂いたが、少々体が冷えてきたので、共に腰を上げ山頂を目指す。この間、Mさんは、下山中のお知り合いの方に2度も会われる等、実に顔の広い方のようである。 13:05、やっと金時山山頂に到達する。周辺は、予想通り座る場所も無いほどの混雑ぶりで、本日は特に子供連れが多い。よくも小さな足で、この急坂を登って来たものだと感心しつつふと手元を見ると、"リンドウ"や"キク"の花束を持っている。親達も、別にそれを気にするわけでもなく、堂々と持ち歩く姿には、恐れ入るばかりである。前回金時山でお会いした、自然公園指導員のOさんが御覧になれは、さぞかし嘆かれると思うが、最近のニューファミリーは、最低限のマナーさえ守れない者が多い。またOさんが、「注意すると、指導員の身に危険が及ぶ場合があるので、所属団体からは、控えるように言われている。」と仰ったのを思い出す。嫌な世の中になったものだが、他人や自然に危害を加えないで登山を楽しむのが、基本中の基本であるのは言うまでもない。少々頭に血が上ったが、穏やかな顔付のMさんを見ていると、急に気持が和らいでくる。私も打ち解けてきたので、2007年3月14日に、フランクフルトからの帰国便(NH210便)でお会いした、Kさんの話をする。当時も、お互いのカメラが、偶然お同じEOS5Dであったことから、寝る間も惜しんで情報交換をしたが、その時のKさんのアドバイスにより、現在の機種に更新した訳である。所で、某プロカメラマンが、「カメラが、見知らぬ人とのコミュニケーションの手段となる。」と仰っていたが、私の場合、内外ともに当て嵌まる。ふと目を西方に転じると、独特の形をした"愛鷹山"の双耳峰が望める。Mさんは、嘗て冬季にこの山を踏破されたり、富士山も何度か登頂されたとか。ここでも、昼食を挟んで、1時間以上も長居したので、そろそろ一緒に下山することにする。 今回は、2年半ぶりの金時山であったが、Mさんとの不思議な出会もあり、来た甲斐があったと言える。改めて、金時神社の神様に感謝したい。 |