*** 2016年3月17日 真白き富士の嶺と残雪の愛鷹山 ***
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3月17日(木)、天気予報によると、富士山周辺は一日快晴が期待できそうである。また、十里木周辺の国道積雪凍結情報によると、3日前に降った季節外れの大雪による規制も、解除された模様である。そこで、白銀に輝く富士の雄姿と愛鷹山越前岳(標高1504m)の雪景色を求めて、十里木登山口に向かうことにする。 8:50、自宅をあとにする。少しでも登山時間を確保するため、今回は新湘南バイパスから圏央道を経て、東名に入ることにする。御殿場ICで東名を下り、469号線を西に30分程ひた走ると、行く手正面に"位牌岳"と"越前岳(右手)"が現れる。何れも、雪化粧をしており、道南の徳舜瞥(2009年11月24日参照)以来の雪山が楽しみである。右手には、紺碧の空に"真白き富士の嶺"が望める。何れにせよ、一刻も早く、十里木展望台からこの雄姿を撮影したいと思っていたところ、突然ナビのアナウンスが、『5キロ先から、チェーン規制が始まります!!』と告げる。昨日のネット情報を信じて、その準備をしてこなかったが、まさかここでUターンする訳にも行かず、車両の通行状態をチェックしつつ、そのまま十里木登山口に向かうことにする。だが、幸運にもチェーン規制箇所や渋滞箇所は現れず、20分弱ですんなりと十里木駐車場に到着する。結局今回は、道路情報自体が間違っていた訳だが、要らぬ混乱を避けるためにも、VICSは、随時最新情報に更新して欲しいものである。 10:12、登山支度をして十里木駐車場(標高860m)を出発する。ここからも、白銀に輝く富士山が望めるが、電線が邪魔してその雄姿を台無しにしている。そこで、先ず見上げるような急階段を登り、十里木展望台(標高996m)からじっくりと撮影することにする。約15分で何とか登り切ると、群青色の大空に、純白の富士が大きく裾野を広げている。やはり、超広角でないと、この全貌を捉えきれない。目を左に転じると、南アルプスの山並が、やや霞んで見える。ネット上でチェックした限りでは、左から"聖岳,赤石岳&小赤石岳,荒川中岳&悪沢岳"ということになろう。だが、最高峰の"北岳"は、残念ながら確認できない。超望遠に交換すると、荒々しい山容が眼前に迫る。更に、"宝永第一火口"が、山頂直下まで及び、1707年の大噴火が、山頂をも吹き飛ばす勢いであったことを窺い知ることができる。ここで、15分程粘ったであろうか。そろそろ切り上げて、"越前岳"に向かうことにする。第二中継塔辺りまで来ると、登山道脇に残雪が見られるようになる。また、ここから望める"越前岳"は、雪を被っているので、今後標高が上がるにつれて、難渋すると考えられる。この先は、暫く展望の利く坂道と明るい灌木地帯が交互に現れるようになる。 11:12、三番目の灌木地帯を抜けると急に視界が開け、"馬ノ背(標高1099m)"に躍り出る。ここで、下山中の男性とすれ違ったので、この先の積雪状況について質問すると、『積雪量は山頂付近で50㎝程度です。』と仰る。私が怪訝な顔をすると、更に『でも、踏み址があるので、アイゼン無しで登れますよ!!』とのこと。その後、立ち話をする中で、年10回程も越前岳に登られる地元の方と分かる。正にこの山の主のような方で、早々のご帰還も納得できる。私の首から下がっているカメラ姿をご覧になったせいか、別れ際に、『写真と登山とどちらが優先ですか?』と訊かれたので、咄嗟に『両方です!!』ですと返答する。だが、改めて考えてみると、美しい被写体を撮影するために、重いカメラとレンズ一式を持って、苦しい思いまでして登っているので、優先云々ではなく、写真が目的で登山は手段ということになろう。この先の岩場から、愈々樹林帯の急登が始まる。日光が十分届かないせいで、残雪量も増え、沢の雪面には鹿の足跡らしきものも確認できる。先程の男性が仰った通り、このべた雪では、アイゼンも役に立たないので、スリップしないよう用心しながら、スローペースで登って行く。そうこうするうちに、女性二人組とすれ違う。今度は、遠路埼玉からお越しとか。お二人の情報によると、山頂からも富士の絶景が望めるとか。この話を聞いて、急に撮影意欲が湧いてきたものの、中々ピッチが上がらない。それでも、休憩を余り取らないで、一歩一歩踏み締めるように登っていく。正に「千里の道も一歩から」である。 12:18、"平坦地(標高1300m)"に到着する。ただ、ここは、名前通りの"平坦な地点"ではなく、写真のような急斜面である。"名は体を表す"という原則からも、完全に逸脱しており、違和感は否めない。苦情はさて置き、斜面の谷側に立つと、富士が惜しげもなく雄姿を見せている。雲が湧きやすい午後になっても、ここまでクリアな姿を見るのは、私も初めてである。その西方には、白銀に輝く南アルプスの峰々が望めるが、先程の展望台からは見えなかった名峰"北岳"や"間ノ岳"他も確認できる。ただ、ここに立つ標識には、"越前岳"まで50分とあるので、まだまだ厳しい登坂が続くことになる。更に樹林帯を30分程登ると、雪の急斜面が現れる。本来なら、ここをトラバースして、崖下を覗き込みたいところだが、人の足跡らしきものも見当たらないので、敢えて危険を冒さないことにする。山頂近くになると、先程の男性が仰った通り積雪量も増え、足を取られるようになるものの、アイゼンは不要である。 13:25、遂に越前岳山頂に到達する。標準時間を大分オーバーしたが、先程の女性が仰った通り、360度雲一つない景色が広がっている。これまでは、海側から雲が沸き上がってきて、視界が利かなかったが、今回は、深く切れ込んだ伊豆半島西海岸や、駿河湾に張り出した"三保半島"も確認できる。地形からすると、北海道・野付岬(2010年10月2日参照)に類似しているので、"砂嘴(さし)"の一種ということになろう。空を見上げると、一機の飛行機が、紺碧の空をバックに、一筋の"飛行機雲"を描いていく。ふと、重松清の小説『その日のまえに』の第一章"飛行機雲"が思い浮かぶ。あの"ガンリュウ"は、その後どうなったのであろうか? 暫し感慨に耽ったのち、アイゼンを装着して山頂を後にする。 15:11、"馬ノ背"まで戻ってくると、相変わらず富士はクリアな姿を見せている。そこで、おもむろにカメラとレンズをザックから取り出し、レンズをテーブル上に並べて、順次撮影する。超望遠で覗くと、宝永火口付近の東側稜線に、寄生火山(側火山)らしきものが確認できる。改めて、ネット上で検索したところ、富士山には、"二ツ塚"を含む70もの側火山が見られるとか。ここから十里木展望台の先を左に迂回して、駐車場に戻る。 今回は、早春の降雪後に、"愛鷹山越前岳"に5度目の挑戦をした。一日中晴天に恵まれ、富士山の絶景と、雪の愛鷹山を十二分に堪能することができた。機会があれば、東側の山神社から、愛鷹山に挑戦してみたい。 ★活動量計データ(上り階段数:330,早歩き歩数:502,総歩数:8424,歩行距離:6.6km,活動カロリー:1285kcal,一日総消費カロリー:3008kcal,脂肪燃焼量:58.7g) |