*** 2017年11月1日 雪の至仏山挑戦 ***
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11月1日(水)、本日は尾瀬ヶ原に聳える百名山・"至仏山(しぶつさん,標高2228m)"に再挑戦である。前回(2015年10月28日参照)は、大山さんは登頂を果たしたものの、私は手前の"小至仏山(標高2173m)"で敗退したため、私にとっては今回がリベンジとなる。ただ、台風22号通過に伴う寒波襲来により、登山口となる"鳩待峠(標高1590m)"より上は積雪が予想される。更に、ネット情報によると、この峠までの交通手段である乗り合いタクシーも、先月で終了している筈なので、自力で同峠まで行きつく必要がある。そこで、大山さんの車に急遽スタッドレスタイヤを装着して頂き、万全を期して出発することにする。 6:30、起床。本日は晴天、宿泊した411号室の窓から、艶やかなモミジが見えたので、ホテル出発前に撮影しょうとしたところ、意外や、下からは色付いたモミジは確認出来ない。どうやら色付いていたのは、日当たりの良い上部だけだったようである。仕方がないので、代わりに利根川沿いのモミジを撮影する。昨日の"滝になった厳剛新道"ではないが、利根川も台風22号の影響で水量を増し、滔々と流れている。 8:06、KKR水明荘をあとにし、先ず近くのコンビニで昼食を仕入れる。店の北方には雪山が望め、大山さんによると"白毛門"とか。この先の水上ICから関越道に入り、沼田ICで下りたあと国道120号線を東進すると、1時間余りで戸倉駐車場に到着する。ここに私の車を駐車し、大山さんのX-TRAILで"鳩待峠"に向かう。大山さんが、この駐車場の女性係員に聞いたところでは、鳩待峠駐車場付近は凍結しているとか。やはり、スタッドレスに履き替えてきて、正解であったようである。 10:07、鳩待峠駐車場に到着する。ここで登山の準備をしていると、係の方が近寄ってこられたので、早速駐車料(何と一日2500円)を徴収されると思いきや、先ず行先を質問される。そこで"至仏山"と答えると、山頂付近は深雪と強風のため、途中で引き返した方が良いと仰る。更に、午後3時以降になると、路面が凍結して車で下れなくなるので、午前中に帰って来られた方が無難とのこと。スタッドレスを履いている旨を伝えると、自らタイヤを確認された上で、これなら午後3時以降の帰還でもOKですと仰る。登山者の身になった実に的確なアドバイスである。私も"至仏山"は無理としても、せめて"小至仏山(標高2173m)"までは辿り付きたいと考えていたので、これで一安心である。そこで、スパッツ他、新調した"滑り止め"も装着して出発する。駐車場からは、雪を被った"小至仏山"と"至仏山"が間近に望めるが、私にとっては、行けども行けども行き付けない遠い存在である。"遠くて近きは男女の仲"なる諺があるが、その逆の"近くて(近くに見えて)遠きは至仏山"というのが実態というところか。そんな軽い冗談を交わしつつ、登山口に向かう。 10:24、大山さんに登山者カードの作成と投函お願いして、愈々登山開始である。緩やかな雪道を20分程登ると、"ダケカンバ"の林が現れる。台風22号の影響か、完全に落葉しており、枯木と見紛うばかりである。登るにつれ、常緑樹の"アオモリトドマツ"に変わり、その下を通り過ぎる度に、解けた雫水の洗礼に合う。そうこうする内に、傾斜が徐々にきつくなり、木の階段も現れる。ここで、下山中の中高年御一行とすれ違ったところ、その御一人がスリップし、階段の間に足を挟まれる。大事には至らなかったものの、下手すると骨折にも繋がりかねない。我々も、雪の階段を踏み外さないよう、細心の注意を払って登ることにする。ここを過ぎると、緩やかな木道が現れる。たが、これが難物で、積もった雪に何度も足を取られ、片足を踏み外して40~50㎝落下してしまう。その度に、木道に這い上がることになり、体力を消耗する。その理由は、単純に"滑り止め"が役目をはたしていなことだが、特に横方向の制動が効かないことである。ただ、軽アイゼンに履き替えるのも面倒なので、そのまま恐る恐る進むことにする。そうこうする内に、急に視界が開け、雄大な山々が眼前に広がる。北東方向には、"燧ヶ岳(標高2356m)"が悠然と聳えており、これをコンデジ25倍ズームで捉えると、荒々しい複数のピークが眼前に迫る。大山さんによると、東北地方の最高峰とか。真南には、雪を頂いたドーム状の山が望めるが、これが"日光白根山(標高2578m)"で、関東地方の最高峰とか。更に西に目を転じると、"武尊山(ほたかやま,標高2136m)","笠ヶ岳(標高2057.5m)と続く。何れも、登山意欲を駆り立てる堂々たる山容である。ふと、山側斜面を眺めると、真っ赤なナナカマドの実が目に留まる。だが、前回と違って、残るのはこの2房のみであり、その多くが台風22号に吹き飛ばされてしまったようである。ここから、展望の効かない樹林帯を20分程登ると、右手に"尾瀬ヶ原"が姿を現す。25倍ズームで覗くと、湿原全体が薄雪に覆われ、既に冬支度を整えたように見える。 12:35、木道の先に、"原見岩(蛇紋岩)"が現れたので、ここで昼食を取ることにする。所が、蛇紋岩に積もった雪の上に体重を掛けた途端、臀部から思いっきり転倒する。少し気が緩んだせいだが、岩の下まで転落しなくて幸運であったと言える。食事中も次々と登山客が下山して来たので、挨拶を交わしたあと至仏山の状況を伺うと、猛烈な風と深雪で、山頂手前で撤退されたとか。東斜面の休憩場所では、風は感じられないが、遮る物がない尾根道に出ると、前回同様、台風並みの暴風に晒されるようである。正に先程の駐車場の管理者が仰った通りで、我々も行けるところまで行って、引き返すことにする。20分程休憩したであろうか。体が冷えてきたので、そろそろ重い腰を上げることにする。ここから更にきつい登りが続くので、大山さんに先頭を譲り、マイペースで登ることにする。だが、欠伸が連続し、私の心肺機能も限界に達したようである。ふと、田部井淳子さんの言葉『どんな山も一歩一歩なのよ。 一歩、一歩、足を前に運びさえすれば、8000mの山だって登れるのよ。』が思い浮かぶ。見方を変えると、『人生はアップダウンの連続であり、途中で投げ出さなかったら、多くの幸運にも恵まれる。』という意味にも取れそうである。私も呼吸を整えて、一歩一歩登っていく。 13:50、"オヤマ沢田代(標高1980m)"を通過する。"池溏"は厚い雪の布団に覆われ、深い眠りに入ったように見える。なだらかな雪道を登っていくと、"笠ヶ岳"分岐が現れる。ここを右折すると、アオモリトドマツの林から、"小至仏山"が姿を現す。前回は視界不良で全貌がつかめなかったが、今回は全体が褐色の蛇紋岩の山塊で、多くの亀裂が走っているのが確認できる。つまり、昨日の谷川岳一ノ倉沢の立て看板に有った通り、蛇紋岩が最上部に持ち上げられた現場ということになる。してみると、この下に"石英閃緑岩"の層が隠れていることになろうか。 14:02、"小至仏山"直下にあるベンチで、大山さんとやっと合流する。大山さんを長らくお待たせする結果になったが、これから"小至仏山"の急登が始まると思いきや、往復の時間(1時間以上)を考えると、ここから下山した方が賢明とか。やはり、雪の木道でスリップして体力を消耗したせいか、前回の1.5倍の時間がかかっており、到達時間も1時間以上遅れている。勿論私には異存は無く、標高2000m以上の山稜に到達できただけで満足である。ここで記念撮影をして、元来た道を下る。 今回は、10月31日/11月1日の両日、大山さんと共に谷川岳山麓/至仏山に挑戦した。生憎、二日目は私の体力不足で小至仏山直下までしか到達できず、大山さんには御迷惑をかける結果になったが、私なりに、雄大な自然を体験することができた。唯一の失敗は、"滑り止め"が用を為さなかったことだが、改めて駐車場に辿り着いた際に確認したところ、私は両側で10本あるリベット全てが無くなっており、大山さんも5本しか残っていなかった。これを契機に、ネットの誇大広告に惑わされることなく、信頼しうる製品を購入するように心掛けたい。 ★活動量計データ(上り階段数:120,早歩き歩数:662,総歩数:11,443(大山さんのスマホ:20,100),歩行距離:9.0km,活動カロリー:1,246kcal,一日総消費カロリー:2,975kcal,脂肪燃焼量:49.2g) |