*** 2018年10月27日 谷川岳の秋 ***
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10月27日(土)、水上は朝から雨である。天気予報でも、本日は雨となっていたので、それなりの準備はしてきたものの、実際に豪雨となれば登山どころではないので、"谷川岳山麓"の散策と"吹き割の滝"見学程度で早々に帰宅することにする。そこで、朝食後も部屋でごろごろしていたところ、意外に早く天気が回復しそうになったので、急ごしらえで出発する。水明荘周辺の椛も程よく紅葉しており、標高の上がる谷川岳山麓付近は、絶景が期待できる。 9:50、土合口駅に駐車し、売店で昼食を仕入れたのち、"マチガ沢"を目指す。駅の外には、道路際に"ドウダンツツジ"がアーチ状に植わっており、目の覚めるような色彩を放っている。しかも来るたびに成長しており、壮観と言う他ない。我々以外にも、観光客が走り寄り、この艶やかな光景を撮影している。ロープウエイ側に近付くと、ゴンドラ同士が正にすれ違う場面に出くわすが、その上の天神平方面は厚い雲に覆われたままである。ただ、谷間には見事な紅葉が広がっており、谷川岳が拝めなくても、山麓の紅葉は十分楽しめそうである。旧道の車止めを越えて、"マチガ沢"に向かって緩やかな坂道を登って行く。振り返ると、"登山訓練センター"傍の椛が真っ赤に色付いている。やはり思った通り、今が紅葉真っ盛りと言える。10分程登ると、右手に"ヒナウチワカエデ"が見えてくる。天狗のウチワのような"ハウチワカエデ"より一回り小さく、"コハウチワカエデ"とも呼ばれるが、近場から実際に大きさを確認しないと、判別は困難である。今回は出遅れた関係で逆光気味のため、実際に近い色を再現するのは難しいが、"ヒナウチワカエデ"自体は、橙色がかった艶やかな色合いを見せている。 10:14、"西倉尾根登山口"を通過する。言わずと知れた"日本三大急登"の一つだが、4年前(2014年10月30日参照)に"厳剛新道"を登り、この尾根との合流点"ガレ沢の頭"から、急斜面を下ってここまで辿り着いたのを思い出す。登るも下るも、第一級の難コースであるのは間違いない。見上げると、この急斜面に広葉樹の黄葉が広がっている。一見"ブナ"に見えるが、オリジナル画像を拡大してみると、木肌に横縞があるものも見られるので、"ダケカンバ(2013年10月15日参照)"も混じっているようである。一方、湯檜曽川側に目を転じると、木肌に斑点が見られるものが多いので、"ブナ"が主体と言うことになろう。振り返ると、先程通ってきた旧道が、日の光を受けて、黄葉のトンネルのように輝いている。更に、この広葉樹の黄葉地帯を20分程進むと、急に視界が開け、木の間から"松ノ木沢の頭(標高1480m)"が顔を出す。この急斜面にへばり付くように生える木々が、色鮮やかに紅葉しており、土合橋へと続いている。思えば、谷川岳を訪れるのは、早春も含めてこれで5度目となるが、今回の紅葉がベストと言えよう。更に数分進むと、ピーク直下から流れ落ちる"松ノ木沢"が全貌を表す。この周辺の紅葉も実に見事だが、何と言っても、略垂直に流れ落ちる沢の迫力に圧倒される。ふと、カラコルムの無名峰(2010年3月27日参照)から流れ下る沢が思い浮かんだが、"松ノ木沢"はそれに匹敵するくらいの規模である。何れにせよ、この沢を登り切るには、第一級の技量と体力が必要なのは、言うまでも無かろう。 10:45、黄葉に包まれた旧道を曲がると、"マチガ沢"が姿を現す。残念ながら、"谷川岳"上部は厚い雲に覆われ姿を見せないが、"マチガ沢出会い"周辺は正に黄葉真っ盛りである。昨年は、この脇から"厳剛新道"に入り"大滝"を目指したが、間もなく増水した沢に行く手を阻まれて断念したので、今回がリベンジとなる。ただ、沢伝いの登山道は、濡れた踏み石に足を取られ易いので、細心の注意を払って、スローペースで登って行く。周辺には、"ヤマモミジ"や"ミズナラ"の黄葉が次々と現れ、これらの写真を撮りつつ、順調に高度を稼いでいく。振り返ると、雲間に隠れていた"白毛門(標高1720m)"が姿を現し始める。登山口から10分程登ったであろうか。ふと沢の付近を眺めると、白色の小花が密生した植物が目に留まる。どこかで見かけたようだが、ネット上で調べても名前が分からないので、改めてAさんに質問すると、"タカネイブキボウフウ"と早速返信が届く。流石にAさんである。一方、前回"厳剛新道"を登り切った際の写真を改めて眺めると、No.37の写真に同植物が写っており、完全に写真を撮ったことや名前も忘れてしまっていたことになる。歳は取りたくないものである。 12:34、"第一見晴(標高1130m)"に到着する。正に絶景!眼前には、落差数百mにも及ぶ"マチガ沢大滝"が、惜しげもなくその姿を晒している。やはり、この全景を収めるため、20㎜超広角単焦点レンズを持参した甲斐があったと言える。所要時間は前回の二倍程度もかかっているが、途中でばてなかった自分を、褒めてやりたい気がする。一方、その手前には、可憐なツツジも紅葉しており、その近くには可憐な赤い実も確認できる。前回もこの周辺で見かけたが、名前が分からず、単に"赤い実"と記したが、改めて2~3日かけてネット上で調べてみると、"ツルアリドオシ"と判明する。この植物は、日当たりの悪い場所を好むようだが、"マチガ沢"のような冬場豪雪に覆われる環境で命を繋いでいるとなると、中々旺盛な生命力を有しているようである。Aさんによると、関西の天王山辺りにも見られるようなので、低山から亜高山まで、広く国内に分布していると考えられる。昼食を兼ねて、暫しここで休憩していると、眼の前を次々と雲が渡っていく。その先端は、渦を巻いており、飛行機が雲に突入した際、急に機体が不安定になる理由が納得できる。十分大滝を堪能したので、そろそろ元来た道を下ることにする。途中の苔むした倒木が、何とも色艶やかである。 14:28、無事"厳剛新道"登山口まで戻り、更に"一ノ倉沢"を目指すことにする。黄葉真っ盛りの旧道を進むと、谷側斜面の大木に、大きな鳥の巣のようなものが確認できる。昨年は気付かなかったが、大山さんによると、"ヤドリギ"とか。宿主は、葉形からして"ミズナラ"のようであるが、"ヤドリギ"が寄生する周辺は葉を落とし、生気を失っているように見える。数分程奥に進むと、樹高20m近くもありそうな橙色がかった紅葉が目に留まる。アップで覗いてみると、土合口で見かけた"ヒナウチワカエデ"より葉が大きそうなので、これが"ハウチワカエデ"ではなかろうか。その近くには、同様の樹も確認できる。更に、樹高数メートル程度の朱色がかった紅葉も見られるが、画像を拡大してみると、多くの垂れ下がった実を付けているので、山に自生する"ドウダンツツジ"ということになろう。 15:00、角を曲がると、"一ノ倉沢"が眼前に迫る。山麓一体は紅葉に包まれ、"マチガ沢"以上に色艶やかである。やはり、ここまで足を運んだ甲斐があったと言える。相変わらず、谷川岳稜線は厚い雲に覆われたままだが、却って"ルンゼ"が強調され、迫力を増しているように思える。ただ、今年は猛暑が続いたせいか、昨年同時期に見掛けた雪渓は、完全に溶けてしまったようである。アップで狙うと、"ルンゼ"の下は、色取り取りの樹木に覆われ、特にラストの写真が鮮やかである。帰りは楽をして、8輪電気バス(料金500円)で戻ることにする。 今回は、登山復帰の二日目として、谷川岳第一見晴迄足を延ばした。山麓も正に紅葉真っ盛りで、これまで最高の絶景を堪能することができた。機会があれば、天神尾根からの紅葉も狙ってみたい。 ★活動量計データ(上り階段数:70,早歩き歩数:732,総歩数:8,340,歩行距離:6.5km(本年累計:1,515.8km),活動カロリー:1,254kcal,一日総消費カロリー:2,992kcal,脂肪燃焼量:51.3g) |