*** 2019年10月31日 二ツ岳の秋 ***
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9月時点で原因不明の不整脈が頻発したのて、今秋の登山は一旦中止を決めたが、10月に入り某案件が一段落したせいか、不整脈も小康状態となったので、主治医と相談の結果、約半年振りに登山を再開する。今回は、昨年の"相馬山(2018年10月26日参照)"の隣に聳える、"二ツ岳(雄岳(標高1340m)&雌岳(同1306m))に初挑戦する。標高自体は、"相馬山"よりやや低いものの、"雄岳"登頂後に一旦急坂を下り、"雌岳"に向けて登り返すので、累積標高差は"相馬山"の2倍以上となり、私にとっては、久々のハードな登山となる。 10:10、新湘南バイパス入口手前や圏央道各所で渋滞した関係で、待ち合わせ場所の"オンマ谷駐車場"には、約40分遅れで到着する。早々に到着した大山さんには、図らずも1時間程度お待たせする結果になったが、先ずお詫びを言って、本日の予定を打ち合わせする。周辺の紅葉を撮影後、登山準備をしていると、先程林道で追い越した"山ガール"御一行が到着される。挨拶を交わし、立ち話をする中で、東京から新幹線と路線バスを乗り継いで来られたことが分かる。御年・・歳と我々より年上であるが、昨日は、この南に位置する急峻な"水沢山(標高1194m)"にチャレンジされたとか。何れにしても、中々タフな方々のようである。数分間お話ししたであろうか、お互いの登山の安全を祈念して、お別れする。 10:57、私がもたついたせいで、やっと出発である。登山口には、猪が掘り返した跡が見られるので、念のため、大山さんに"クマよけスプレー"を携帯して頂く。色付いた雑木林中のを登って行くと、木の間から、"相馬山"が望める。昨年は濃霧に隠れたままだったので、快晴の今年こそ雄姿が拝めると期待していたが、残念ながら山頂は雲に覆われている。考えてみれば、"相馬山"は南側に位置し、"掃部ヶ岳(2015年10月27日参照)"に次ぐ高峰のため、湿気を含んだ南風がこの峰に衝突し、元来雲や霧が発生し易い場所と言えよう。登山道の脇には、艶やかな朱色の"ホツツジ"に続いて、黄色の"ミズナラ"が現れる。この登山道をゆっくり登っていくと、何と先程の"山ガール"の方々とすれ違う。何でも、"雄岳"への登りが大変そうなので、諦めて"分岐"から引き返えされたとか。これを聞いて、我々も気を引き締めて登っていくと、山側斜面に亀裂の入った溶岩塊が確認できる。灰白色をしているので、安山岩質ということになろうが、一部には亀裂が走っており、約1500年前のものとは思えないほど生々しい。 12:04、やっと鞍部の"分岐"に到着したので、ここで昼食を取る。"二ツ岳"は、6世紀に榛名山系で最後に噴火した寄生火山だけあって、辺りには溶岩の巨石が林立している。やはり、女性にとっては、登るのを躊躇するくらいの迫力であろうか。だが、私にとっては、室蘭在住時に親しんだ山々の殆どが、火山だったこともあって、火山が生み出した荒々しい風景に、寧ろ親しみが湧く。国土地理院サイトの分類によると、"榛名山"は富士山同様"成層火山"だが、"二ツ岳"は"溶岩円頂丘"とある。つまり、粘性の高い巨大溶岩からなる急斜面の丘状火山で、山全体が巨大な溶岩塊と言うことになる。道南では"樽前山(2007年7月7日参照)"、箱根では"箱根駒ヶ岳(2000年10月14日参照)"が、それに属するようである。暫し道草したので、ピッチを上げ、"雄岳"山頂を目指す。巨石の傍には、"ホツツジ"や"コミネカエデ"が彩を添えている。 13:00、"雄岳"山頂に到着する。周辺には、爆裂火口と思しき小クレーターがあり、その西側の小ピークが山頂と言うことになる。だが、すぐ傍にはテレビ中継所があり、自然の景観を台無しにしている。それは兎も角、山頂に向かうと小さな祠と石灯篭があり、"相馬山"同様、信仰の対象になっているようである。その先には、180度の眺望が開けているが、南西の"掃部ヶ岳"他の山々は雲間に隠れたままで、中央の"榛名山"も霞が掛かったように見える。仕方がないので、記念撮影をして、早々に下山することにする。ここから、"雌岳"登山口まで、130m程を一気に下ることになるのだが、これが上り以上に下半身に堪える。途中の木の間から、"雌岳"が望める。望遠で山頂付近を覗くと、白い肌の木々が見られるので、標高からすると、"ダケカンバ"ということになろうか。 13:42、何とか雌岳登山口に辿り着いたものの、ここからは見上げるような木製階段が続いている。段差が高く隙間が有るので、踏み外さないよう、恐る恐る登って行くと、数分で"溶岩風穴"が現れる。当初、溶岩が流れた際の隙間かと思っていたが、改めて上記国土地理院の分類を考慮すると、溶岩ドームが凝固する際に生じた亀裂と考えた方がよさそうである。更に数分登ると、新たな風穴が現れたので、山腹の随所に亀裂が走っていることになる。傾斜がやや緩くなった所で、丸太の階段にかわったものの、息切れだけでなく、欠伸が連続したので、小休止する。それでも登りを再開すると、欠伸が止まなかったので、大山さんに先導を頼み、小休止して後を追うことにする。 14:04、何とか"雌岳"山頂に辿り着く。"雄岳"同様、石の祠が確認できる。南方には、"水沢山(みずさわやま)"が槍のように聳えている。中々登山意欲を駆り立てるような山容で、機会が有れば挑戦してみたいものである。更に、"相馬山"の雄姿をカメラに収めようと、散々粘ったにも拘らず、山頂の雲が晴れないので、諦めて下山することにする。だが、"オンマ谷"に向けて、一気に急坂を300m余り下ることになり、途中で全身の筋肉が悲鳴を上げる。"オンマ谷"東側まで来ると、"ハウチワカエデ"の黄葉や、色付き始めた"コハウチワカエデ"が、疲れた体を癒してくれる。緑から赤に変化していくグラデーションが、何とも見事である。この谷を大回りして、駐車場へと戻る。明日は、愈々絶景が期待できる谷川岳である。 |