*** 2013年10月15日 裏磐梯五色沼 ***

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1.毘沙門沼1 2.毘沙門沼2 3.ノコンギク 4.色付き始めた椛 5.ニシキギ1 6.ニシキギ2 7.毘沙門沼3 8.毘沙門沼4 9.毘沙門沼5 10.毘沙門沼6
11.毘沙門沼の鯉 12.毘沙門沼7 13.毘沙門沼8 14.毘沙門沼9 15.毘沙門沼10 16.毘沙門沼11 17.毘沙門沼12 18.ツタウルシの
落葉1
19.ツタウルシの
落葉2
20.ツタウルシの
紅葉1
21.ヤマハゼの紅葉1 22.ヤマハゼの紅葉2 23.コマユミの実1 24.コマユミの実2 25.ヤマグミの実1 26.ヤマグミの実2 27.ツタウルシの
紅葉2
28.ツタウルシの
紅葉3
29.アケビの実1 30.アケビの実2
31.アケビの実3 32.アケビの実4 33.オオカメノキ1 34.オオカメノキ2 35.毘沙門沼13 36.毘沙門沼14 37.カンボクの紅葉 38.ヤマハゼの
紅葉3
39.ヤマハゼの
紅葉4
40.ヤマハゼの
紅葉5
41.ヤマハゼの
紅葉6
42.ヤマハゼの
紅葉7
43.ヤマハゼの
紅葉8
44.ヤマハゼの
紅葉9
45.ヤマハゼの
紅葉10
46.ヤマハゼの
紅葉11
47.ツリバナの実1 48.ツリバナの実2 49.ツリバナの実3 50.毘沙門沼15
51.ツタウルシの
紅葉4
52.ツタウルシの
紅葉5
53.赤沼 54.深泥沼 55.竜沼1 56.竜沼2 57.竜沼3 58.弁天沼1 59.弁天沼2 60.瑠璃沼からの
渓流
61.瑠璃沼1 62.瑠璃沼2 63.青沼1 64.青沼2 65.青沼3 66.青沼4 67.沼間の渓流 68.毘沙門沼16 69.毘沙門沼17 70.毘沙門沼18
71.ヤマハゼの
紅葉12
72.ヤマハゼの
紅葉13
73.ヤマハゼの
紅葉14
74.ヤマハゼの
紅葉15
75.ヤマハゼの
紅葉16
76.ヤマハゼの
紅葉17
77.ヤマハゼの
紅葉18
78.ヤマハゼの
紅葉19
79.毘沙門沼19 80.毘沙門沼20

 10:35、浄土平を後にして、吾妻スカイラインを裏磐梯五色沼へと向かう。思えばこのルートは、40数年前に通ったはずだが、記憶は完全に消失している。そんな訳で、道中のコメントは差し控える。
 11:53、裏磐梯五色沼駐車場に到着する。時間からして、先ずここで昼食を取るべきだが、これを後回しにして、最初の"毘沙門沼"に向かう。実際に湖岸に立ってみると、40数年前の記憶が鮮やかに甦る。HPのプロフィルにある通り、私は高校時代から写真が趣味であり、それを知った鈴木さんが、神秘的な色合の五色沼を是非見せたいと、ここを御案内頂いた訳である。改めて、古いアルバムを捲ってみると、確かに"毘沙門沼"が写っているものの、色はくすんでしまっている。当時は、銀塩フィルムしかなく、プリント写真用は専らネガフィルムが、印刷写真用には、色彩の鮮やかさから、リバーサルフィルム(スライドフィルム)が使われていた。よって、プリント写真では、所詮このレベルであった訳である。従って、今回デジカメで、この微妙な色合いを何処まで再現出来るか、楽しみである。ただ、眼前の"毘沙門沼"は、湖面が乱反射し、背後の磐梯山も雲間に隠れたままである。そこで、神秘的な湖面を求めて、自然探勝路を西に巡ることにする。
 12:07、"毘沙門沼"の西側まで来ると、木の間から、艶やかな乳青色の湖面が見てとれる。近づくと、意外と水深は浅く、水は透明である。また、色取り取りの鯉が優雅に泳いでいるので、草津白根山湯釜(2012年7月23日参照)のように、強酸性の湖ではないはずである。従って、何らかの微粒子が溶け込み、これが短波長の白青色を反射して、この魅惑的な色合いになったと考えられる。では、この微粒子が何かだが、湖沼微粒子分析の観点から、地元の福島大学にて解析が試みられているとか。だが、残念ながら、結果は未だに開示されていない。いずれにしても、私は専門外であるので、この発表を気長に待つしかあるまい。
 12:20、自然探索路をそのまま西に向かっていると、足下に真っ赤な落葉が目に留まる。これを撮影していると、その格好が珍しく思えたのか、近くの女性が別の落葉を拾い上げ、私に手渡して下さる。改めて見てみると、何と"ツタウルシ"の紅葉である。嘗て、山好きのK准教授より、これに被れて、大変な目にあったと聞かされたことがあり、残念ながら捨てることにする。近くには、"ヤマハゼ"もみられ、それが艶やかに紅葉し始めている。それにしても、周辺には、"ウルシ科"の植物が少なからず見受けられ、これが会津や喜多方の漆器産業に繋がったのであろうか。ふと見上げると、"ツタウルシ"が絡まった巨木に、立ち枯れが目立つ。謂わば、"絞殺しの蔦"とも言うべき光景であり、人間を含む他の生物にとって、中々危険な植物と言わざるを得ない。"バラ"に例えて、"美しいものには棘がある"(There is no rose without a thorn.)という諺が西洋には存在するが、"ツタウルシ"はアジア原産のため、敢えて例えるなら、"美しいものには毒がある"(There is no poison ivy without poison.)というところか。
 13:03、"赤沼"に到着する。この小さな湖沼には、名前とは異なり、エメラルド色の水を湛えている。近くの観光客も、"これが赤沼!"と素っ頓狂な声を発しているが、裏磐梯観光協会のWEBによると、酸化鉄の沈殿物がヨシの根元に蓄積して発色した結果とか。改めて、オリジナル画像を拡大してみると、水に浸かったヨシの根元が確かに茶褐色になっているものの、近くの"深泥沼"同様、単に枯れた下草に見える。だが、福島大学のWEBには約pH4.0と五色沼中最大とあるため、もし鉄の化合物であるならば、単なる酸化鉄ではなく、硫化鉄或いは塩化鉄ではなかろうか。大分道草したので、足を速めて"竜沼"に向かう。
 13:22、"竜沼"を通過する。比較的大きな湖沼で、"毘沙門沼"同様、豊かな紺碧の水を湛えている。上記福島大学のWEBにも、pH6~7と酸性度が弱い部類に入るとある。そのせいか、沼の周囲を豊かなヨシが囲み、その後方を樹木が覆っている。ここからやや南下して、"弁天沼"に至る。"竜沼"を比べてスケールは格段に大きいが、特に目新しい植生は見られないので、説明は省略する。
 13:34、"瑠璃沼"に到着する。ふと、私の愛唱歌・琵琶湖周航歌第四番が思い浮かぶ。その歌詞には、「瑠璃の花園 珊瑚の宮 古い伝えの竹生島 仏の御手に抱かれて 眠れ乙女子やすらけく」とある。所で、今春(2013年5月25日参照)、北条線法華口駅で偶然お会いしたオランダ人巡礼の方が、同島の三十番札所"宝源寺"を訪問したことがあると仰っていたこともあり、私も是非一度仏と乙女子に会いに、同寺を訪れてみたいものである。一方、"瑠璃色"をネット上で検索すると、Wikipediaには、「瑠璃色は、やや紫みを帯びた鮮やかな青。名は、半貴石の瑠璃(ラピスラズリ、英:lapis lazuli)による。・・・」とあり、我が家にも、2010年にパキスタン北部のフンザで買いい求めた小片が現存している。そこで、改めて確認してみると、摩周湖(2010年10月1日参照)が正にラピスラズリの色合いであり、"瑠璃沼"は似ても似つかない。余談だが、湖には"カルガモ"が浮かんでおり、福島大学のWEBにあるpH4~5より、酸性度が低下しているのではなかろうか。
 13:42、近くの"青沼"に向かう。探索路から眺めても、吸い込まれそうな青白色をしており、早速湖面まで降りて、この光景を撮影する。では、なぜこの色が生じたかだが、福島大学のWEBには「多量のカルシウムと硫酸イオンが含まれるため、プランクトンが少なく、湖面が青い湖沼です。」とある。更に、この沼の源流は、磐梯山の火口付
近にある"銅沼"で、pH3~4の酸性、鉄・アルミニウム・マンガン等の金属イオンを多量に含むとか。この中に、銅イオンは含まれていないが、何故か"硫酸銅"の色と酷似
している。早速液晶モニターで画像を再生してみると、この微妙な色合いを見事に再現しており、これなら、HP上に掲載しても恥ずかしくなかろう。所で、鈴木さんと訪れた際は、もう少し足を延ばして、桧原湖まで行ったような気がするが、この"青沼"で目的を達した感もあり、ここから元来た道を戻ることにする。
 今回は10月14日/15日の両日、大山さんと共に安達太良山/浄土平/裏磐梯五色沼を訪問した。安達太良山では若干消化不良であったが、代わりに浄土平/裏磐梯五色沼で見事な光景に出会い、十二分に福島の秋を楽しむことができた。最後に、嘗て大変お世話になった故鈴木健司さんの御冥福をお祈りしたい。

総歩数:15,245歩 

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