*** 2014年9月4日 濃霧の大倉尾根試登 ***

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1.大倉駐車場 2.登山口途中の店 3.ツユクサ1 4.ツユクサ2 5.塔の岳大倉尾根
登山口
6.ヤブラン1 7.ヤブラン2
8.ヤブミョウガ1 9.ヤブミョウガ2 10.ヤブミョウガ3 11.薄紫の花1
(ヌスビトハギ類)
12.薄紫の花2
(ヌスビトハギ類)
13.表尾根の山並み 14.放牧中の乳牛
15.キツネノカミソリ1 16.キツネノカミソリ2 17.キツネノカミソリ3 18.分岐手前の登山道 19.クヌギ林 20.パノラマ台コース 21.ドングリ
22.ホトトギス類 23.クロテンコオトギリ 24.秦野方面
(大倉高原山の家)
25.真鶴半島方面
(大倉高原山の家)
26.水場の有る
大倉高原山の家
27.雑事場ノ平 28.クヌギの新芽
29.見晴茶屋 30.表尾根稜線
(見晴茶屋)
31.センニンソウ1 32.センニンソウ2 33.タマアジサイ1 34.タマアジサイ2 35.モミジ林の急登
36.モミジの緑葉1 37.モミジの緑葉2 38.モミジの緑葉3 39.ヤマボウシの実1 40.ヤマボウシの実2 41.ヤマホトトギス1 42.ヤマホトトギス2
43.ヤマホトトギス3 44.駒止茶屋への急登 45.駒止茶屋 46.濃霧の山道1 47.濃霧の山道2 48.濃霧の山道3 49.濃霧の山道4
50.濃霧の山道5 51.濃霧の山道6 52.濃霧の山道7 53.赤松のシルエット1 54.赤松のシルエット2 55.赤松のシルエット3 56.赤松のシルエット4
57.赤松のシルエット5 58.濃霧の山道8 59.マルバダケブキ1 60.マルバダケブキ2 61.マルバダケブキ3 62.濃霧の山道9 63.濃霧の山道10
64.堀山の家 65.塔の岳への山道 66.キティーちゃん
(堀山の家)
67.倒木の苔 68.若鹿1 69.若鹿2 70.若鹿3

 4月末の鎌倉以来、諸般の事情で写真/登山を控えてきたが、ここにきて漸くリハビリ期間も過ぎたため、久々に大倉尾根から塔ノ岳(標高1491m)を目指すことにする。この尾根は、だらだらと緩やかな坂道が続くことから、"バカ尾根"なる不名誉な名前が付けられているが、見晴茶屋(標高610m)から先は急登が続き、私にとっては決して侮れないルートである。ただ、ハードなアップダウンが続く表尾根と違って、体調に応じて途中で引き返すことも可能であり、病み上がりの私にとっては、最適と言える。
 10:00、"大倉駐車場(標高280m)"を後にし、車道を登山口へと向かう。周辺は長閑な田園地帯が広がり、道端には艶やかな"ツユクサ"も開花している。気のせいか、街中のそれより、艶やかさ/大きさ共上回っているように見える。10:08、登山口の標識が現れる。ここを左に折れ、舗装路を暫く行くと、石畳の道に変わる。初秋でもあり、多くの花々は期待いていなかったが、意外や道端には、様々な野草が開花している。それらを撮りつつ緩やかな坂道を登っていくと、急に視界が開け、霧に霞む表丹沢が姿を現す。その手前の草地では、3頭の乳牛が長閑に草を食んでいる。山道脇には、小形の"カンゾウ"のような"キツネノカミソリ"も彩りを添えている。クヌギ林を通過すると、切り落とされたばかりと思しき小枝が、少なからず見られる様になる。先の尖ったドングリは、直径約5mmと小粒であり、樹種は"コナラ"か"ミズナラ"であろうか。
 10:40、分岐点が現れる。今回は少し遠回りして、パノラマコースを行くことにする。薄暗い杉林を過ぎ雑木林に入ると、またして、落下したクヌギの小枝が目立つようになる。ドングリは、先程と違って丸型で直径約10mmと大粒であるが、むしろ気になるのは、小枝を切り落とした犯人である。そこで、帰宅早々ネット上で検索した所、"小枝は、ハイイロチョッキリというゾウムシの仲間の昆虫が、ドングリに卵を産み付けた後に切り落としたもの"とあるので、犯人は体調僅か7~9mmの昆虫ということになる。一方、持ち帰ったドングリを、ネット上の画像と比較したところ、先端が平坦になっている特徴から、"クヌギ"ではなく"アベマキ"のようである。元の山道に戻ると、紫の斑点がある"ホトトギス"や、黄色の"クロテンコオトギリ"が開花している。私自身は、前者を見るのは初めてだが、ネット情報によると、丹沢には広く分布しているとか。後者は、付け睫毛のように長い雄花の特徴から、道南の山々で良く見かけた"シナノオトギリ(2008年7月27日参照)"の小形版というとこであろう。
 11;10、大倉高原山の家(標高590m)に辿り着く。遥か南西には、相模湾に突き出た真鶴半島が霞んで見える。写真を撮り終え、ベンチで休んでいたところ、中年の男性が下山して来られる。ただ、余りにも早い御帰還なので、塔ノ岳登頂の有無を確認したところ、濃霧で視界不良のため、"堀山の家(標高960m)"で引き返されたとか。私自身も、富士の絶景に供えて、重い望遠レンズ他をザックに詰め込んできたので、残念至極ではあるが、今回はあくまでも試登のつもりなので、頃あいを見て、途中で下山することにする。この直ぐ上の"雑事場ノ平"からは、鮮やかな緑のモミジのトンネルを潜って行くが、あと2か月半もすれば、見事な紅葉(2011年11月26日参照)に変貌する筈である。合流点手前まで来ると、テーブルが設置してあったので、ここで早めの昼食をとることにする。
11:23、"見晴茶屋(標高610m)"に到着する。モダンな建物には、高床式のベランダも設置され、山小屋にしては中々ゴージャスな作りである。ただ、ここまで平坦路が続いたせいで、高度は殆ど稼いでいないことになる。この先から愈々急階段が始まり、その脇をゆっくりとしたペースで登って行く。その内、若いカップルに道を譲ることになるが、何とかここを登りきる。小さなピークを越えると、傾斜も少し緩やかになり、立派な木道が現れる。この一帯も、緑のモミジ回廊が続くが、その中に、赤色の実が目に留まる。一見すると、"ヤマモモ"に似ているが、表面の突起も鋭く、明らかにそれとは異なるようである。帰宅後ネット上で検索した所では、どうやら"ヤマボウシ"の果実のようである。ふと足元を見ると、白い釣鐘のような花が咲いている。全体に紫の斑点があり、先程の"ホトトギス"と類似しているが、花弁が反り返っており、どうやら異種の"ヤマホトトギス"のようである。疲労が蓄積してきたので、休憩を兼ねて、ここで2度目の昼食をとる。
 12:42、やっと"駒止茶屋"(標高約900m)に到着する。意外に時間がかかったが、現在の体力では致し方あるまい。ただ、この先から濃霧が立ち込め、山道も確認できない。また本来なら、東方に"三の塔(標高1205m)"が姿を見せる筈だが、この濃霧では望むべくもない。行きかう人も、"この天気では、写真が撮れなくて残念ですね!"と慰めて下さるが、このような幻想的な光景を写真に収めるのも、一興である。そこで、濃霧の中に入っていくと、見事な枝振りの赤松が、墨絵のように浮かび上がって見える。
ここで暫し撮影に熱中したあと、堀山(標高943m)を越え、一旦下ったあと、痩せ尾根を登って行く。途中、キク科の"マルバダケブキ"が群落を作っていたが、北海道で猛威を振るう"オオキンケイギク"同様、何とも親しめない姿である。
 13:20、"堀山の家(標高960m)"に辿り着く。ただ、今後濃霧が晴れそうな気配もないので、先程の男性同様、ここで引き返すことにする。20分程下ったであろうか。霧の中に、何やら動くものが確認できる。そっと近づいて見ると、何と鹿である。最近の新聞によると、2月の大雪で、丹沢の鹿の多くが餓死したとあったが、この鹿は幸運にも生き残ったようである。更に数メートルまで近づいてみると、体も小さく白の斑点があったので、雌の若鹿であろう。ここから、ひたすら下るだけであったが、急坂でふと立ち止まると、"良い写真が撮れましたか?"と声をかけられる。話をする中で、横浜井土ヶ谷在住のOさんと仰る方で、かなりの写真マニアであることが分かる。また、嘗て私と同じEOS5Dをお持ちで、現在はNIKONのフラッグシップ機・D800に変更されたとか。EOS5Dと言えば、フランクフルトからの帰国便内(2007年3月12日-14日参照)で偶然お会いしたKさんもお持ちだったが、これもカメラが執り成す不思議な御縁であろうか。一方、世界最高の3630万画素CMOSを搭載したD800については、ブレのレベルまで判別できる圧倒的な解像度とか。これも、キャノンがデジタル一眼の分野で胡坐を掻き、EOS5D MarkⅢで、碌な改善を行えなかった結果である。私も、D800を試写してみたいところだが、交換レンズも含めて相当の出費となるので、諦めざるを得ない。そうこうするうちに、大倉駐車場が近づいてきたので、再会を願ってお別れする。
 今回は、十月中旬の一切経山/安達太良山登山に供え、自身の体力をチェックするため、大倉尾根を試登した。体力/筋力の低下は致し方なかったが、思いがけない方や光景に出会え、楽しい登山となった。次回は、紅葉の時期に再挑戦したい。

総歩数:15,661歩
登りの厳しさ:大倉~駒止茶屋(▲~▲▲),駒止茶屋~堀山の家(▲▲▲~▲)

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